
埼玉県立近代美術館でお友達の作品を見る!
お友達などといったら実はおこがましくて、私がひそかに「画廊の達人」と尊敬している方なのである。達人こと、原島辰男さんは毎週画廊を巡り、ご自身の作品も画廊に数多く出展されている精力的なアーティスト、かつ、専業の作家ではないとのこと。どれだけパワフルなんだろう!と驚かされることがしばしばです。私が初めてギャラリー「スペースK」(「画廊って入りづらいところ?」というインタビューで取り上げたギャラリー:文章下部参照)を訪れたときにご縁ができ、そこからずっと原島さんの活躍ぶりをまぶしく拝見してきました。
5月ごろだったか「原島さん、ぜひ画廊をもっと親しみやすいところにするためのインタビューにでてくださいよ~」とお願いしたところ「実はすでにいろいろスケジュールも立て込んでるのだけど、7月に美術館で2人展をやることになっていて、今本当に時間がなくて…」とおっしゃるのでこちらが仰天。知ってる方が美術館で展示!!それは駆け付けないわけにはいかない。

というわけで、7月最終週、溶けるような暑さではありましたが青空と緑の鮮やかな埼玉県立現代美術館へ初訪問。
北浦和の駅から真正面に5分と大変便利な立地かつ、公園に囲まれたナイスロケーション。外観も直線を面白い感じに組み合わせた、好奇心をそそられる造り。一見して、槇文彦建築かと思ったら違いましたね(笑)黒川紀章1982の作品でした。実際、この美術館、建物だけでも一度は訪れる価値があると確信しています。中に入ると直線と曲線、吹き抜けと多角形、さまざまな組み合わせが実に味わい深く、そこに入っただけでアートの内側に迷い込んだような気持の変化が体験できます。あと、ミュージアムショップのセレクトがいい! あ、話が横道にそれました。


さて本題に戻ります。地下におりてさっそく展示会場を発見。今回は写真×絵画の2人展です。
まずは原島さんの写真作品から鑑賞。

原島さんの写真は、はっとする街角の一瞬をとらえたものが多いです。ご自身でも「狩猟」とおっしゃっているように
「この枠の中にあの人が歩いてきて、この背景に重なり、足がすらりと伸びた瞬間を狙ってシャッターを切る。もちろん、ほかの人が入ってしまったり、思った通りのところを歩いてくれなかったときは、次の機会を獲物を待つように狙う」
そんな風に一瞬に狙いを定めて撮られた作品は、私たちをことさら強く惹きつけます。ビビッドな色づかいも垢ぬけており、いつもの街角を特別なものへと昇華させているように感じます。

原島さんの優しい雰囲気はキャッチできました。
そしてIsonoさんの絵画作品へ。

どれも、じっくり見ちゃいます
Isonoさんに伺ってみました。「どんな時間に絵を描いていますか?」
すると「自分の気持ちがノッている時ですね」と即座に返事が返ってきました。
「自分の心って絵筆を通じてキャンバスに乗ってしまうものなんですよね。私は絵を通じてみなさんにほっこりした気持ちをお届けできたらと思っているので、自分がノッていないときは描かないんですよ」
なるほど、やはり見る側も描く側の心をキャッチしてしまうわけですね。
「あるときストーリー仕立てで描いた連作があって、その中の一枚はとても悲しい展開の部分で、私もキャンバスに涙をこぼしながら描いたんです。そうしたら、会場でその絵の前で泣かれている方がいたことがありました。やはり人は感じるのですね」

キャンバスの形もとてもキュート
初対面でお話しさせていただいたのですが、描かれてる絵のままに温かいお人柄で、作品もとてもやさしいオーラをまとった作品でした。柔らかな点描がなんとも落ち着く雰囲気を醸し出しており、ぼーっと眺めていたくなる作品です。
さて、今回の写真×絵画という少し珍しい組み合わせ。
なぜお二人が一緒に展覧会をされることになったかという経緯もお伺いしました。
「写真を見ますよという方が、意外と絵を見に行ったことがないとか、逆もまた然りなことがあって、ぜひぜひそんな皆様にどちらも素敵な世界が広がっていると知ってほしかったんです。合同で展覧会をすることで、その垣根が低くなったら素晴らしいなと」
そして、このご縁は、先述したスペースKというギャラリーで結ばれたご縁だそう。
実は私も会場で「この方もスペースKで展示されましたよ」という方をご紹介いただき、画家さんと新たに知り合うことができました。
そんな素敵な展示会は6日間の開催で559名の来訪者という快挙を達成されました。きっとたくさんの交流がうまれたことでしょう。
おふたりそれぞれのご活躍がますます楽しみです!


Isonoさん、抽象画家さんとの秋の2人展(スペースKにて)のお知らせです。https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02cUAdcn6MTdi95m2cfr6svsCyBfe7GkrKB3bD4B3jjssYgB4kavRTfPfivPwfFCxAl&id=100009916278130


