見出し画像

画廊(ギャラリー)って入りづらいとこ?vol.1「SPACE K 代官山」で聞いてみた!

画廊ってどんなところ?
アートの世界に興味が出てきて存在を知ってはいるんだけどという方は多いのではないでしょうか。なかなかイメージがしにくい「画廊」という場所。しかし、美術館に慣れたあなたにも、画廊はもう少し違うアート体験を提供してくれる場所です。

まだ出会っていない自分だけの一枚を探しに「画廊」を訪れてみませんか。

出窓が目印。穏やかな気持ちでアートに浸れる空間
~「SPACE K 代官山」 ギャラリスト木村さんに会いに行ってみた~


このウッドタイルの階段が目印です


東急東横線代官山駅から徒歩で 5 分。
個性的なお店やカフェを抜けて、ウッドタイルの階段を上ったところにこじんまりした画廊があります。 

そっと覗いてみると、木村さんが作品台を磨いていました。声をかけると「意外とこういった肉体労働もあるのよね」振り返りながら木村さんがにっこりされました。
美しい空間を提供できるようこういった施設面での努力は欠かせなく、年に一度はご自身で壁も塗り替えているとのこと。白い壁に光が差し込み、色が映える空間だと感じましたが、作品を輝かせるために余念ないご尽力があったのですね。
出窓からそそぐ柔らかな光が包み込む画廊は、木村さんの印象そのままに穏やかな空間です。

「画廊に興味を持ってもらえるのはとても嬉しいです。なかなか敷居の高い場所と思ってらっしゃる方も多いと思いますから」

まさに画廊は「敷居が高い」と思ってらっしゃる方が多いのではないでしょうか。まずは画廊とはどんなものか伺ってみました。

「画廊といってもいろいろタイプがあって、すでに有名な方の絵を売り買いすることが目的だったり、コレクターの皆さんが集まってきたりする画廊もあるのですが、こちらは初めて個展を開かれる方や公募展に初参加するといった方の展示も多いんですよ」とのこと。
確かにこちらの公募展ではプロの作品も並ぶなか、親子で出品されたアマチュアの作品も並んでいます。

また、木村さんは他の画廊の展示会などにも積極的に出かけて「ぜひうちの画廊で展示をされませんか?」といったお声がけをしたりもするそう。
例えばこちらでは 絵や写真などのほか、木の造形やアクセサリーいったジャンルの展示もあり幅広さを感じます。

「個展を開くのはちょっと自分には難しいかなと戸惑っている方の背中を押したり、同じジャンルの作家の方を企画展に参加しませんかとお誘いしたり、プロからアマチュアまで作家の皆さんと接する機会はとても多いですね」

「作家さんだけでなく、見に来てくれた方たちが自然にアートの話で盛り上がって、どんどんご縁が繋がり拡がっていくのを見るのが大好きなんです」と木村さん。

「アートの前では老若男女関係なく話がはずんで初対面でも盛り上がったりしますよね。表現方法が違ってもアートをされる方は底の部分で繋がっていると思うし、アートの好きな方もそうだと思います。
そういう場を見て、 自分も何か表現してみようという勇気の出る方がいたら、それも嬉しいことです」


「アートは作りだすという過程もきっと楽しいものですけど、見に来てくれる人がいて一つの輪が完成して次につながると思うんです」

白と出窓が印象的なSPACE K 代官山

人と人のつながる画廊を作りたいと、木村さんがこちらをオープンしたのは 14 年前。わくわくしながらオープンしたものの「開店当初は集客の『しゅ』の字もわからなかったのよ」と木村さんは笑います。他のギャラリーに行って素敵な作品を出している方がいても最初はどう誘っていいのかわからなくて、ご意見BOXのようなところに思いのたけを書いてお返事をもらうところから始めたりしたそうです。

そこから14 年、初めて個展をやってまた戻ってきてくださる方、毎年恒例で展示される方、ここで縁ができてグループ展をされる方、多くのみなさんが集う場所に「SPACE K 代官山」は成長しています。
こちらを訪れるのは作家さんのお知り合いがやはり多いとのことですが、実は通りに出された看板をみてふらりと立ち寄られる方も想像以上に多いそう。それも土地柄か、外国の方も寄られたりするそうです。

こう聞くとぜひと立ち寄ってみたいという気持ちがふつふつと沸き上がってくるかと思いますが、いざ行ってみようとするとどうにも画廊というのは入りにくい空間なのも確か。そこらへんを率直に木村さんに伺ってみました。

「実は私もよその画廊を訪問したとき、ほかにも誰か入っている人がいれば入りやすいのにとか、扉を開けるのに勇気がいるなと感じることは結構あります。通りがかりでちょっと気になる絵があるんだけど、入っちゃったら出られないかな、とか。
でも画廊に入るのって初めての洋服屋さんに入るのと同じと思っていただけるといいかもしれません。気になる服が見えたら洋服屋さんに入ってみるように『あの絵のブルーが気になるからもうちょっと近くで見てみたいな。ほかにも好きな絵があったらいいな』そういう軽い気持ちで考えると少しは入りやすくなるでしょうか。感性に合わないと思ったらさっと見て出てきたってかまわないのですから」

でも、ギャラリーの人に話しかけられたりしたらちょっと緊張しちゃうかもしれません。
「お客様がある作品をじーっと見ていたら、私もギャラリストとしてタイミングを見計らってその作家さんについてお伝えするようなことはありますが、お時間に余裕があるのかどうかなどお客様側の都合に配慮するように心がけています。もし看板を見てピンときたとか、外から見てちょっと気になったということでしたら、ぜひ扉の内側をのぞいていただきたいですね

自分の感性に合う一枚と巡り合うには、ちょっぴり勇気もいるかもしれませんが、まずは作品に近づいてみること、自分の好き嫌いを知るためにもたくさんの絵を見て「目を養う体験」が必須だといえるでしょう。絵を見ることは自分の内面と静かに向きあうことでもあります。そのなかでかけがえのないものに出会えたらそれはとても貴重な体験といえるのではないでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?