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節分について思う事を書いてみました
節分はもともと、奈良時代から宮中で行われていた「追儺(ついな)」という行事が起源とされています。追儺は、中国から伝わった風習で、鬼に扮した者を追い払うことで邪気を祓い、一年の無病息災を願う儀式でした。やがて、この行事が庶民にも広がり、豆をまいて鬼を追い払う現在の「節分」として定着していきました。
日本人は古くから、目に見えないものへの畏敬の念を持ち、自然や季節の移り変わりとともに暮らしてきました。節分は単なる厄払いではなく、新たな季節を迎えるための心の準備でもありました。また、日本では外国のように怒りを他者にぶつけるのではなく、節分のような行事を通じて心を鎮め、前向きな気持ちで新しい季節を迎える知恵が根付いています。これは、日本人特有の「和を重んじる精神」を象徴するものとも言えるでしょう。
一方で、近年では節分とともに「恵方巻き」を食べる風習も広まっていますが、これは古くからの伝統ではなく、実はバレンタインデーと同じく食品会社による販促活動から広まったものです。特に1980年代以降、大手コンビニチェーンなどが商業的に推奨したことで全国に広がりました。本来の節分の意味を考えると、こうした新しい文化が広がることも興味深いですが、伝統としての節分の意義を大切にすることも重要ではないでしょうか。
節分は、単なる厄払いの行事ではなく、日本人が大切にしてきた「心の調和」と「季節を感じる文化」の象徴です。こうした行事を通じて、私たちは自然と共に生き、和を大切にする日本の素晴らしさを改めて感じることができるのです。