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2024/10/2 骨折55日目 「下町サイキック」
下町サイキック 吉本ばなな著
ばななさんの小説は温かくて、
体にすーっと入ってくる。
あふれだす気持ちを抑えきれないように、語りかけてくる。
希望の光がかすかに見えるような気がしてくる。
印象に残ったのはクロのあまりの神々しさだった。犬神様級の神聖な感じ。真っ黒い瞳が星のようにキラキラ光っていて、全身の毛づやは実際よりもっと広いところまで光っている感じがした。
そのオーラと一体化した国人くんには、人間離れした妖怪みたいな感じがあった。
この犬を飼えるほどの人なのだから、きっと何かそれにふさわしい度量を持っているのだろう、そう評価せざるをえなかった。
それにそのひとりと一匹が歩いている様子は、どちらも人間でもなく犬でもない、新しい、私たちの知らない種族の生き物が歩調を合わせて進んでいるような、そんな感じがした。彼らがいるだけでいつもの街も森の中のような静けさを持ってしまう、そんな風に。
もし今度彼らに会ったら、もう少し詳しく聞いてみたかった。
具体的には、どんなふうに生きたらそんな見た目の印象になるんですか?みたいなことだ。
今後の自分にとってすごく大切なことなような気がした。
「毎日の中に楽しみはあるけど。なんで犬の命は人間よりも短いんだろう。」と国人くんは言った。
「もう、毎日キラキラで元気で勢いがあって、私たちの何倍も生きてるんだよ、きっと。それは悲しいことじゃないのかもしれないし。」私は言った。
ばななさんはあとがきで
この小説には、「運命の人との出会い」のニュアンスがあらゆるところに書いてあります。
パートナーだけではなく、縁がある人との出会い。
出会ったからといって、何かが解決するわけではない。しかし、人生の道はほんの少し拓けるのです。
少しだけまた新しい方向に踏み出せたなと思いつつ、ちょっと時代にとって早すぎたやも。
十年後くらいに読むとちょうどいいかもしれません。
今現在に読んで何かを感じてくださった方には、先に続くわずかな希望(直感の新しい使い方)を今の段階で嗅ぎ分けるお手伝いができたなら、無上の喜びです。
10年先は霊魂と話す、傍に気配を感じることができる
目に見えないつながりを実感できるような世界になっているのでしょうか?
10年後が楽しみになりました。