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「学術会議問題」にみる、朝日の騙しテクニック

「学術会議問題」と聞いて多くの国民が思い描くのは、菅元首相の会員任命拒否でしょう。そしてその問題点は、「政府が学問の世界に圧力をかけていること」だと思われるでしょう。

この「学術会議問題」を最も積極的に、かつしつこく取り上げてきた朝日新聞の12月24日の社説には、学術会議の独立性と地位の向上の重要性が強調されています。

制度改革について議論を行う有識者懇談会では、法人化によって学術会議の独立性・自立性を高める方針が示されており、学術会議の望む展開に進んでいると言えるでしょう。

朝日が問題視しているのは、新設の委員会による会員の選考です。

懸念が強いのは、会員の選び方や活動の評価など、新しく盛り込まれる制度だ。

現状、学術会議の会員は既に中にいる会員たちが総会を開いて推薦し、首相の任命を受けて決まるシステムになっています。学術会議の会員に気に入られた人、コネがある人でなければ実質的に推薦を受けられないというのが今の仕組みと言っていいでしょう。

それを改めてもう少しマシな選考方法を考えようというのが今回の制度案の趣旨であると言えます。では朝日は、何のためにこの制度案を批判しているのでしょうか。

朝日の記事を含め、「学術会議の独立が大事だー」と主張する人たちの多くはよく、「学問の自由」に根拠を求めます。

学問の自由を守るためには政府が学問に政府が介入すべきではない。だから政治が学術会議に関わってはいけない。一見するともっともらしい感じがします。

しかしこの「学術会議擁護=学問の自由擁護」という論理は、既に紹介した学術会議のシステムを踏まえると途端に崩れる、重大な矛盾を抱えています。

会員になるには会員の推薦を受けなければならない、今いる会員に気に入られなければならない今のシステムでは、日本学術会議という団体自体に学問の自由がないからです。

既存会員の好みそうな研究や主張をする人ばかりがどんどん会員になり、反対意見や独自の主張を展開する研究者は学術会議から排除される。こんな組織が学問の自由を主張するのは、実は非常に矛盾しているのです。

学問の自由を本当に守るためには、当然学術会議の選考方法を変えないといけません。だから委員会を新設して会員の選考を少しは公平化しようというのが今回の改革案なのです。

このように考えれば、「学術会議問題」とは「政府が学問の自由を侵害した」というのではなく、「学術会議に実は学問の自由がない」という問題です。

従って学術会議を擁護する朝日新聞は学問の自由を擁護しているとは言えません。むしろ論点をすり替えることによって、目の前にある本質的問題の解決を阻止しようかの如くです。

こうした朝日の「学術会議問題」の取り上げ方は、彼らが多用する騙しのテクニックの代表例と言えます。

朝日は、そこに確かにある問題を取り上げ、都合の良い独自の解釈に修正した形で論評することで、問題の本質から国民の目を背けることに長けています。そうすることで、読者はその問題を目にするたびに、朝日の提起する問題点を思い出します。そして次第にあらゆる社会問題に対して朝日的な解釈が加わっていきます。このように国民を洗脳しているのが朝日新聞です。

例えば「移民問題」。この問題の本質は、不法移民や治安の問題に加え、過度な移民労働者依存による国民の低賃金です。ここを脱却しようとする政策を打てば、朝日は移民問題を「ヘイト」や「人道問題」にすり替え、執拗に批判します。

こうして国民は「移民問題」という言葉を人道問題だと勘違いし、本当に重要な治安や給料の問題と反対方向へ連れて行かれる。

「難民問題」も。難民が押し寄せることによる社会保障の圧迫や偽装難民のトラブルといった問題の本質から注目を逸らすため、「かわいそうな難民」をことさらにに取り上げて、「私も、同じ人間ですよね?」などと言って感情をそそり、人道問題にすり替えるのです。

他にも朝日は、日米同盟の課題を日本の防衛力強化から「沖縄基地問題」に、夫婦別姓問題を戸籍制度の安定に関わる問題から女性の権利と称する「人権問題」に、ハマスのテロを純粋なテロとの戦いから「ジェノサイド国家イスラエル問題」にと、ありとあらゆる問題を大きく操作して報道します。

朝日新聞の報道を真に受けると、問題の本質を見失います。ネットを通じて自分から情報を取りに行ける現代、私たち国民がすべきはマスメディアが発する情報を鵜呑みにせず、再考、検証を重ねていくことです。

「ネットの嘘に騙されないコツ」などというアドバイスはよく目にするところですが、

今本当に必要とされているのは、どちらかといえば「マスメディアに騙されないコツ」の方でしょう。

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