管長日記「足から変わる」解釈20241121
南嶺老師の管長日記は法話(人の感情や認識に関する話、本の紹介や時事ネタもここに入れてよい)、仏教学(仏教一般、次の禅文学でないあたり)、禅文学(禅文化や語録・公案に関わる)、そして体操(整体、体術と言ってもよいだろう。健康体操から坐禅の技、イス坐禅の頻度が多い)に凡そ分かれるだろう。
個々の処、体操の回が連続している。布薩の話は、体操と仏教学が混ざっているが、どちらかというと体操になっているが、これが老師の個性である。
今日の話は、体操なのだが、なんとも不思議というか、変な話である。自身の語りであるが、自分に起こっていることを分析するというのが、仏教的な態度といったものか。
構成:
1.西園美和先生との振り返り
2.「立つ」ということ
3.魔女トレでわかったこと
4.今回の西園先生とのワーク
5.『魔女トレ』本の利用のこと
6.今回の西園先生とのワーク(続き)
整理してみると、本の紹介だった。老師の言っていることは、正直に言っているのだろうが、効果の大きいことを伝えているということに他ならない。
ただ、老師の職業上のテーマとして、坐禅に非常に効果的な方法が書かれていて、その西園美和という人との縁を振り返っているようにもうかがえた。
Xの紹介をみてみた。
西園美彌
@miyanishizono
舞踊家・ダンサー/クラシックバレエ/コンテンポラリーダンス/筑波大学体育専門学群・大学院スポーツバイオメカニクス研/動作改善&運動指導/身体も姿勢も足が大事/ 最近魔女と呼ばれます #魔女トレ YouTubeも細々とやってます 2021年書籍「魔女トレ」発行
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バレーダンサーの動画は柔軟体操の為によく見た。確かに参考になったが、とても真似できたものではない。
なんだ、老師の卒業大学と関係あるのか。ただそのことに言及されたことはないので、偶然だろう。
フォローしておいた。
■1.西園美和先生との振り返り
「西園美彌先生にお世話になるようになって、もう三年近くなります。二〇二二年の一月十一日の管長日記に、「足を地に着けて立つ」と題して、初めて西園先生に教わったときのことを書いています。」
坂村真民先生の詩『尊いのは足の裏である』が引用される。
尊いのは足の裏である
尊いのは
頭でなく
手でなく
足の裏である
一生人に知られず
一生きたない処と接し
黙々として
その努めを果してゆく
足の裏が教えるもの
しんみんよ
足の裏的な仕事をし
足の裏的な人間になれ
頭から
光が出る
まだまだだめ
額から
光が出る
まだまだいかん
足の裏から
光が出る
そのような方こそ
本当に偉い人である
「足の裏の大事なことは頭では分かっていたつもりでありましたが、西園先生との出会いによって、実に頭でなく足から分かってきました。足が変わることによって、体が変わり、心も変わることを実感してきました。」
■2.「立つ」ということ
「またその時の日記には、「立つ」ということについても書いています。」
漢和辞典によると、
「しっかりと両足を地につけてたつ。安定させてたてる」
「足を地につけて、しっかりと生活をする」
「組織・きまり、仕事の基礎などをしっかりと決める」
「位につく。取り上げて位につかせる。後継ぎに決める」
など
漢字の成り立ちは「人が両足を地につけてたったさま」
「人間が立つということは本当は難しいものです。あの小さな足で、大きな全身をまっすぐにささえるのですから、難しいのです。かつて学校では、廊下で立たせるという罰がありました。立たせることは罰だったのです。しかしその立つことが実に心地よく、いつまでもこのまま立っていたいと思うようになるのです。」
ここを聞いた瞬間、今回は実は法話かな?と思ったのだが、そうではなかった。
「西園先生に教わって、その翌日にもその感覚が体に残っていて、朝いつものように立っても、胸のあたりから足が生えているような感覚で、地面の深くまで足が突き刺さっているようで、安定感があり、どっしりとして、それでいて腰などに無理がなく、心地よく、いつまでも立っていられるような気持ちなのです。立つという感覚が、ここまで変わるとは驚きであります。」
■3.魔女トレでわかったこと
『魔女トレ』(日貿出版)、出版は二〇二一年の一二月、三年前のこと。
「三年近く、教わってきて、鈍感な私の足もずいぶん変化しました」というが、自慢話ということではなく、このぐらいの期間がかかるとか、それでわかったことを聞く、といった感じだろう。
「先日もまず足の裏に手のひらを合わせて、足で手を感じることが難なくできるようになっていました。足の裏より、手の方が敏感なので、足の裏と手のひらを合わせると、手で足の裏を冷たく感じるものです。
しかし、今回は、すぐに足の裏で手のひらを暖かく感じることができるようになっていました。大きな変化です。
足首まわし、足をほぐしても、すこしは柔らかくなったように感じます。
足首や足指と股関節と、どう関係するのか、はじめの頃は全く分かりませんでしたが、この頃は足指と丹田とのつながりも感じることができるようになってきました。
また実際に、近くで習っていた修行僧が、足指、足首を調えただけで、しっかりと坐が組めるように変わっているのですから、驚きです。」
「こういう驚くような変化があるので、「魔女トレ」と呼ばれるのであります」というが、老師は坐禅のプロであるので、その分を上乗せして考える必要がある。いわんや初心者は、といったあたりかな。
「毎回三時間かけて、股関節がやわらかくなるように、全身がほぐれて坐りやすくなるように、入念なワークを繰り返しています。
そしてその変化がすぐに体に表れるので、修行僧達も喜んで学んでくれています。」
修行僧も、おそらく1日中坐禅するなどの経験があるのだろうから、かなりの練度があるはず。
■4.今回の西園先生とのワーク
「今回も足指や足首のワークについては、今まで習ったこともあるものですが、西園先生に直接教わると、また一層深まるものです。
弾力のあるボールを足で踏むというのを何度も繰り返します。なかなか踏めるものではないのです。それが足の裏を調えていって、拇指球、小指球、踵の三点で押せるようになると、しっかり踏むことが出来るようになってきます。そうしてボールを外して立ってみると、実に拇指球、小指球、踵の三点でしっかり立つことができるようになっているのです。なかなかこの三点をしっかり意識できるようになるのは、長い時間がかかりました。とりわけ小指球が分かりにくいものです。」
西園先生は、禅寺にニーズがあると予想していただろうか?
これは、坐禅する人、しようと思っている人といった市場があるとみれば、面白いのではなかろうか。
■5.『魔女トレ』本の利用のこと
『魔女トレ』「足指で握る」
「あぐらから片足を伸ばし、もう一方の足を曲げます。
背筋は坐骨の上にすっと伸ばします。
そして5本の手の指を足の指の間に入れます。
足指の間に手の指がするっと入るのが理想です。
指が太い人は、はじめは手の指の第2関節まで入ればOKです。
毎日取り組むうちに徐々に広がってきます。
はじめは足首を直角にします。
これは立っている時と同じ角度にするためです。
そして“足”で“手”を握ります。
手で足を握るのではないので注意してください。」
『魔女トレ』には、各所にQRコードがついており、西園先生の動画を見て学べる。
そして「とても親切であります」と感想を言っているのだが、このあたりから、宣伝だと。
「足指で手を握り10秒、ゆっくり数えます。10秒したら握っていた足指の力を抜きます。」
ちょっと思ったのだが、日ごろストレッチをしていない人は、これだけで結構しんどいと思う。というか、出来ないだろう。
■6.今回の西園先生とのワーク(続き)
「あと腕の外旋、内旋を改めて深く教えてもらいました。肩を調整するやり方もとても素晴らしいものです。そうして股関節をはめる独特のワークをします。最後にテニスボールを使って座骨のまわりをほぐすワークを行いました。これは今回初めての感覚でありました。かくして三時間かけて足指、足首、股関節を調えると、実に坐ること、立つことが楽になるものです。
修行僧の感想
「足元から丹田に向かう意識と、腕の内旋外旋から丹田に向かう意識で体を動かすのがとてもよかった」
「すべてのワークを終えた後,下腹に重みを感じてどっしり立つことができた」