卽身成佛義 遍照金剛撰 (8)
三密加持速疾顯者。謂三密者一身密二語密三心密。法佛三密甚深微細等覺十地不能見聞故曰密。一一尊等具刹塵三密。互相加入彼此攝持。衆生三密亦復如是。故名三密加持。若有眞言行人觀察此義。手作印契口誦眞言心住三摩地。三密相應加持故早得大悉地。
三密加持すれば速疾に顯わる者、謂く、三密者、一には身密、二には語密、三には心密なり。法佛の三密は甚深微細、等覺十地で見聞能わず。故に密と曰う。一一の尊、等しく刹塵の三密を具して互相に加入し、彼此攝持する。衆生の三密も亦た復た是の如し。故に三密加持と名づく。若し眞言行人有って此の義を觀察し、手に印契を作し、口に眞言を誦し、心が三摩地に住すれば、三密は相應して加持する故に早く大悉地を得る。
故經云。此毘盧遮那三字密言共一字無量。適以印密言印心成鏡智速獲菩提心金剛堅固體。印額應當知成平等性智速獲灌頂地福聚荘嚴身。以密語印喉時成妙觀察智即能轉法輪得佛智慧身。誦密言印頂成成所作智證佛變化身能伏難調者。由此印密言加持自身成法界體性智毘盧遮那佛虚空法界身。
故に經に云く、此の毘盧遮那の三字の密言、共に一字、無量なり。適に印密言を以って心を印すれば、鏡智を成じて速かに菩提心金剛堅固の體を獲る。額を印すれば應當に知るべし、平等性智を成じて速かに灌頂地福聚荘嚴の身を獲る。密語を以って喉を印ずる時、妙觀察智を成じて即ち能く法輪を轉じて佛智慧の身を得る。密言を誦じて頂を印ずれば成所作智を成じて佛變化の身を證し、能く難調の者を伏す。此の印密言に由って自身を加持すれば法界體性智毘盧遮那佛の虚空の法界身を成ず。
又云。入法身眞如觀一縁一相平等猶如虚空。若能專注無間修習。則入初地頓集一大阿僧祇劫福智資糧。由衆多如來所加持故。乃至十地等覺妙覺具薩般若。自他平等與一切如來法身共同。常以無縁大悲利樂無邊有情作大佛事自此下儀軌之
又た云く、法身眞如觀に入って一縁一相平等なること猶お虚空の如し。若し能く專注して無間に修習すれば、則ち初地に入り頓に一大阿僧祇劫の福智の資糧を集む。衆多の如來の所び加持に由るが故に、乃ち、十地、等覺、妙覺に至って薩般若を具し、自他平等を與う一切の如來の法身と共に同じく、常に無縁の大悲を以って無邊の有情を利樂し、大佛事を作し、自ずと此の之の儀軌を下す。