【映画】『侍タイムスリッパー』
ミニシアター系の作品からこれほど盛り上がるのは「カメラを止めるな」以来ですね。
みんな観て観て観て観てって感じです。
太秦の撮影所が台本を読んで、全面協力したのも納得の作品です。時代劇は小道具諸々費用が嵩むので自主映画で作るのは止めろと止めるのですって(太秦の撮影所が)、その撮影所に作るべきと思わせるのって凄い。
尺は長めの作品ですが、あっという間でした。
主役の高坂新左衛門役の山口馬木也さんと大物俳優風見恭一郎役の冨家ノリマサさんの演技と殺陣は流石でした。とくにラストの真剣でやるところは鬼気迫るというか、本気の殺し合いみたいな。で、元々タイムスリップしてきた侍なので、殺陣が今っぽくなくて、それもよりリアルに感じられたのです。
山口馬木也さんは大河ドラマでも何度か名前を見てるよね・・・でも顔と役が一致しない・・・ですがこれで完全一致です。
「カメラを止めるな」の監督役の俳優さんのように、メジャーな役どころでの出演が増えることを期待しています。
高坂新左衛門が現代にタイムスリップしてからじょじょに慣れてくる過程がなかなか面白く笑いを誘いますし、親身になってくれるADの山本優子にほのかに惹かれていきますよね。不器用そうな表情がまた良いのですよ。
また新左衛門が世話になるお寺の住職夫妻が「滑る」「落ちる」は禁句だと言っているあたりが微笑ましい。
風見恭一郎主演映画に出演が決まってからの新左衛門の苦悩、たけみつではなく、真剣でという件はなかなかでした。
観ていない方のために付け加えると風見はタイムスリップ直前に斬り合っていた相手で、新左衛門がタイムスリップした現代より30年近く前の時代にタイムスリップしていたのです。そこで時代劇俳優としてキャリアを積み、現在に至ると。なので幕末では新左衛門の方が年上だったけど、現代では風見の方が年上になっています。
真剣での撮影シーンはこれが撮影ということを忘れさせるような緊迫感があり、まさに手に汗握るで、これはどちらかが死ぬのか?死なないまでも血しぶきブッシューなのか?
結末を知らずに観ているこっちとしては、そう思ってしまうような状況だったのです。
無事に全シーン撮影が終了し、映画はクランクアップすると、新左衛門には斬られ役としての日常が帰ってきます。
そして別の撮影をしている撮影所セットの反対側に3人目の彼がタイムスリップしてくるのでした。
いや~あの若い侍はどうしたんだろうと頭の片隅にありましたけどね。まさか大ラスで登場とは。