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見切れ品 〜共稼ぎ家事担当夫の料理 20〜

ただ料理を時々作るだけだと忘れがちなのが、食費のことです。

毎日担当するようになって必然的に食費全体のイメージを掴んだ上で献立を作らないといけないな、と思うようになりました。

テレビに出ている芸能人の奥さんのように、節約レシピで1ヶ月10000円、なんていう風に仕上げていきたいのですが、そうもいかないことが多々あります。

そもそも働いてようと働いていまいと、疲れて家事をやりたくないことが人にはあります。しかし、誰かがやらないといけない、そう思うからなんとかやるのです。

そういう時はつい、お惣菜の世話になってしまいます。しかし、ちりつも、とはよく言ったもので、ある種の煮物なんか、こんなの買わずに作るわいと思うようになります。お惣菜は味を買っているのではなく、時間を買っていたのです。

時間を節約できるにせよ、惣菜ばかりを買っていると結構かかります。それではいけないと買い物に気をつけるようになりました。その結果、一時期見切れ品ばかりを買い集め、それで何か作るというふうにしたことがありました。

しかし、これもダメでした。見切れ品はその日のうちになんとか処理しないと無駄になってしまうもの。安い分、時間を多数要するものに他ならなかったのです。

①安いところで安いうちに大量に買って、それで献立を考える
②献立に沿って最低限のものを買うようにする
③見切れ品を買いあさってそれで献立を考える
④惣菜の値引き品を狙いにその時間に買い物に行く
⑤品物があるうちに行って好きなものを定価だけど最低限買う

色々やりました。

上のパターンの中で、②が一番いいんじゃね?と思われると推測されます。

しかし、私はダメでした。

人間、

A お金
B 時間
C 満足度=欲望
D 健康

の四つのパラメータがあって、料理するにあたってどれかを満たそうとすれば、他のパラメータが削られるということが、徐々に理解されてきたのです。

②をやろうとすると、すでに献立が決まってますから、店頭で見た食べたいものを諦めなければなりません。すなわち、大幅にCが削られることになったのです。

例えば、作り置きは、A、B、Dを満たせるので、すごいいいと思うのですが、Cが生じないように、意識されない我慢を重ねなくてはならない。それが、私にはキツかったのですね。

ダイエットにおけるチートデイという考え方と一緒ですが、欲望の我慢で削られることが男性の場合(男性に限らず、ですね)結構苦痛なんだと思います。時々はガス抜きとして、Cを解放してあげることも必要なんじゃないでしょうか。

A〜Dは、どれかを優先すれば、どれかが削られることになります。最適点はあると思いますが、最適点ばかりを続けると、これまたCが削られるでしょう。

男性はCが過剰で、女性はCの我慢を無意識でできてしまっているようにも感じます。もっと正確に言えば、「Cの我慢を無意識にできる振る舞いを身につけている人は女という性を持つ人に多く見られた」でしょうか。時々、それが原因で揉めている男女を見ます。最適点を達成するのがうまい料理上手な女性なのですが、その手際の良さがかえってパートナーにCの我慢を強いてしまうという逆説。

先日私もCを解放してみました。敢えて見切れ品の宮城産松たけ1980円を購入したのです。

結構小さいけど量あって、国産で1980?訳あり感…。

たぶん、なんかダメージのあるものを削いだりなんかで出てきた半端なものを集めたが故にこの値段。早松が紛れ込んでたり、産地が違うという可能性もないわけではないが、まあ、「つもり」でもいいや、と買い、お吸い物で香りを楽しみました。

私の母はキノコ栽培農家の娘だったので、母方の田舎に行くと、シイタケの分別をする倉庫がありました。門前の小僧なんとやら、でキノコの香りについては、体で覚えております。主にシイタケでしたが、山があって舞茸と松茸のポイントは一子相伝だったそうです。叔父は継がなかったようですが。マツタケは基本、夜行で東京に行って売り捌いたという話をしており、食卓にはほとんど供されなかったと思います。

ただ匂いは倉庫の中の一室にあり、教えてもらった記憶があります。あまりいい香りとは思いませんでしたが。それでも懐かしさとともにあって、ときどき香りを嗅ぎたくなります。



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