「家庭の運営という概念 その36」/母の介護、いったりきたりまたいったりの後で
昨日の本欄で、母が一時施設に入ること強く望んで行こうとした話を述べました。
後で振り返って、タイミングではあったのですが、やはり私自身急いていたのだなという感じはします。
あの時、母はいそいそと服や下着、生活用具などをまとめて施設に入る支度をしていました。
私は銀行に行ってきてくれと言われ、そうした後、その支度を手伝っていました。
そうしているとき、いそいそとしている母とは別に、私は「母は長年住んだこの家ともこれでお別れなんだな、私のため、私の家族のため、料理を作ってくれたりしたな」と思うと、なんだか急に泣けてきて泪と寂しい思いが止まらなくなりました。
しばらくすると母が、「この真珠の首飾りをA(妻の名前)さんにあげてくれ」と古い化粧箱に入った真珠が50個くらいついた首飾りを差し出しました。
前の晩に、私の家で母は私の妻に「これまでK(私のこと)の結婚式で使っただけの真珠のネックレスがあって、悪いモノじゃないからまだ使えるから、Aさんにあげる。もらってくれる?」と言われていたものでした。
ちょっと、化粧箱から開けて見ている胸に付けるブローチも入っていて、母は「これもいいだろ、これも一緒にAさんにあげる」と言いました。それを手に取ってみているともう泣けてきてどうしようもなくなってしまいました。母にありがとうと言って抱きしめました。
そうしたこともあり、施設に車で向かったのですが、一人で施設に入るとなると母も心細くなってきたのでしょう。だんだんに行く途中から様子が変わってきて家に帰ると言い出したのでした。
現段階での顛末は、昨日記した通りここ数日のうちに好意的な言葉をいただいた施設の見学に行くことになります。まずはそこからです。
真珠のネックレスは、昨日帰宅して、
妻に「昨日言っていた真珠のネックレスをくれたよ、もらってくれるかな」と言って手渡しました。