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「日露戦争奉天会戦/司馬遼太郎史観に騙されないで その5:最終/司馬遼太郎と乃木さん」 乃木さんの孤独な闘いと殊勲

 その4までで記してきたことが私の所見になります。もちろん、参考文献に大きく依存しております。
 
 最後に司馬遼太郎と乃木さんについて記しておきます。

 司馬遼太郎は「まことに小さな国が、開化期を迎えようとしている、、、」と明るいほのぼのとさえ感じられる書き出しで『坂の上の雲』を始めています。
 『坂の上の雲』が、占領米軍による自虐史観を強制されたままの昭和戦後の言論空間に与えた意義を過賞するにやぶさかではありませんし、予定調和に過ぎたとしても歴史物語にはそのような舞台装置も必要だろうことを否定するつもりもありません。
 しかしそこに一点、乃木将軍に対する誤解が横たわっているとすればそれを見逃すわけには絶対にいきません。またそれはこれまで見たきたように、乃木将軍隷下の、献身という言葉すら軽く思える闘いをした全将兵を蔑ろにするということになるならば許容することは断じてできません。

 世になお、残る乃木さんに対する、昭和『坂の上の雲』にある司馬史観。これを払拭しなければ日本の将来は危ういと思っています。
 そのために、つたないながらこうして本編を書きました。

 乃木さんの残したものは、今も我々の身近に存在しています。それは精神的な部分ですが、乃木さんの功績が精神の上でも認められます。
 それは、全国廿浦浦にあまねくある、何の変哲もない土地土地の神社に百十七年後の今なお歴然と残る乃木将軍署名の日露戦戦没者の慰霊碑においてです。乃木さんがその余生をおくるのに如何なる精神と態度をとったのか、我々にまだまだ学ぶべきものは多いと思います。

 最後の最後ですが、今年の夏も、苦難の闘いを戦い通した第三軍将兵の英魂に感謝するため、靖国に、そして乃木神社にお参りするつもりです。また、近隣にある神社に残る乃木さん揮毫の日露戦役戦没者の慰霊碑にも。


以下
本シリーズを順に掲載
「日露戦争旅順攻防戦/司馬遼太郎史観に騙されないで」|りょうさん|note
「日露戦争奉天会戦/司馬遼太郎史観に騙されないで その1:奉天までの野戦の経緯」 乃木さんの孤独な闘いと殊勲|りょうさん|note
「日露戦争奉天会戦/司馬遼太郎史観に騙されないで その2:奉天会戦はじまる」 乃木さんの孤独な闘いと殊勲|りょうさん|note
「日露戦争奉天会戦/司馬遼太郎史観に騙されないで その3:奉天会戦の勝因は乃木第三軍の北進攻勢に他ならず」 乃木さんの孤独な闘いと殊勲|りょうさん|note
「日露戦争奉天会戦/司馬遼太郎史観に騙されないで その4:乃木さんの進言通りであれば圧勝だった奉天会戦」 乃木さんの孤独な闘いと殊勲|りょうさん|note

以下参考文献



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