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書評

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読書の喜びは、他のなにものにも代えがたい魅力が有ります。そういった喜びを皆さんと共有すべく、知的刺激を受けた書、好奇心満載の書、ためになる書その他この他、わたしの狭い読書領域の中…
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「『ローマ人の物語』他、塩野七生著作書評リスト」

「ローマ人の物語」他について、塩野七生さんの著作をリスト化します。 ローマ人の物語 1)「ローマ人の物語Ⅰ ローマは一日にして成らず」/初めから面白い|りょうさん (note.com) 2)「ローマ人の物語Ⅱ ハンニバル戦記」/これはめちゃくちゃ面白い|りょうさん (note.com) 3)『ローマ人の物語Ⅲ 勝者の混迷』/帝国の盛衰の歴史、現代と変わらず|りょうさん (note.com) 4)「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」野心、虚栄心の問題|りょ

「日銀利上げ、やはり国民経済のためでなく銀行のためではないか!」/高橋洋一さんが鋭く指摘

1月の日銀利上げ 一月下旬の日本の金融政策決定会合で日銀は、貸出金利を0.25%から0.50%へ利上げしました。 昨年実質賃金は6月と12月のボーナス月のみ若干のプラスでそれ以外の月はまだまだプラスへ浮上していない。つまり昨年は一年間を通じて実質賃金は恒常的にマイナスであった。 それにもかかわらず日銀は7月に利上げを行い、その直後世界の株価を暴落せしめる日銀暴落を起こした上に、 さらに本年に入り、1月下旬更なる利上げを行いました。 この結果は、為替の円高と株価下落に明確に

「『グローバリストの洗脳はなぜ失敗したのか』(徳間書店)&『馬渕睦夫が読み解く2025年世界の真実』(WAC)両書ともに馬渕睦夫著」/世界史はグローバリズムからナショナリズムに変わった!

『グローバリストの洗脳はなぜ失敗したのか』(徳間書店)&『馬渕睦夫が読み解く2025年世界の真実』(WAC) 元駐ウクライナ全権大使の馬渕睦夫さんが立て続けに著作を公けにしています。 前者は昨年(2024)秋、米国大統領選の前、後者は大統領選後昨年末に出版されています。 両書ともに、トランプ再選という世界史的な大きなモニュメントに対する認識を軸にこれからの世界、歴史がどう展開していくか、私たち日本人はどう行動していくべきか、というまさに私たちに非常に身近な事柄の理解やこれ

「『愛と哀しみのルフラン』岩谷時子著(河出書房新社)」/美しい日本語で全編が詩のような情感で綴られた随筆

昭和の歌姫越路吹雪のプロデューサー、岩谷時子 昭和に輝いた稀代の歌姫越路吹雪のマネージャー、そのヒトは岩谷時子。 戦前の宝塚時代から続いた歌姫越路吹雪とマネージャー岩谷時子の女性同士の稀有な友情が齎したモノは、日本芸能史に燦然と輝いていると私は思っています。 あの越路吹雪を越路吹雪たらしめたのは、取りも直さずマネージャーの岩谷時子であり、そういう意味で岩谷時子氏はマネージャーを超えた越路吹雪のプロデューサーだと言っていいと思います。 越路吹雪との日々を綴った「愛と哀しみの

「『トランプが戦争を止める/米露蜜月とネオコンの崩壊』渡辺惣樹著(PHP)」/ネオコン:リベラリズムと金融力を持つディープステイトの支配は終焉となるか

現代の悪、ネオコン リベラリズムと金融力を持つディープステイトと混然一体となったネオコン、これが現代の悪だということです。 どこまでも個人の自由を行き過ぎるほどに追及しようとするイデオロギー、リベラリズム。これを自己中心主義、あるいは”わがまま”と言わずしてなんというのだろうか、ということです。 だから私は、最近のなんでもリベラルが良いという”リベラル”をイデオロギーとみなしてリベラリズムと言ってよいと思っています。 そして莫大な力を持つに至った金融マフィア。どこまでも

「『わたしの渡世日記』(下)高峰秀子著文春文庫/戦後少女から大人の女性になった高峰秀子」

『わたしの渡世日記』(下)もやたら面白い 上巻については既報しました。 上巻が、5歳で子役としてデビューし子役から少女スターとしての日々を回顧したのに対して、 下巻は、昭和二十(1945)年終戦後21歳の高峰秀子が昭和30(1955)年に映画監督木下恵介の弟子で助監督の松山善三と結婚するまでを回顧したものです。 高峰秀子が少女から大人の女性になって活躍する中で、いろいろな出会いと別れを綴ったものですが、この下巻もやたらと面白い。もちろんそれは上巻でも記したように、高峰秀

『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著(文藝春秋)-2/ウクライナは負けつつあり、ロシアは先進国以外の国々を味方につけた、、、実態無いGDP大国の西洋は敗れたと。そしてトッド氏は(バイデンの)米国を告発している。

この書により、ウクライナの敗勢が明らかに この「西洋の敗北」によって、ウクライナの敗勢が能天気な日本人にも明らかになったのではないか。 トッド氏は、ロシアが西洋先進国以外の国々との(積極的でないものを含めた)支持や交流(物資的な貿易やモラルサポート)により、戦争の継続のみならず、国家としての継続性あるいは発展性まで手にしているとの趣旨を記している。 そして、そうしたウクライナ問題に対して、西側のメディアが偏った報道しかしないため、日本ではウクライナが敗勢にあるなどというこ

『西洋の敗北』エマニュエル・トッド著(文藝春秋)ビシビシと脳に来る、これほど刺激的な書物は他にない!年末年始読むべし!

エマニュエルトッド氏の渾身の最新刊『西洋の敗北』 エマニュエルトッド氏の渾身の最新刊『西洋の敗北』ですが、脳天を刺激することこの上ない。 これまでエマニュエルトッド氏の著作についてはかなり本欄でも紹介してきました(例えば下記参照)。 (関連記事含め全記事ということでは、 「エマニュエルトッド りょうさん」の人気の記事一覧|note ――つくる、つながる、とどける。    を参照ください) 歴史人口学・家族人類学の観点から世界情勢に物申す、という点でこれほど現在の世界に刺激

「日本外交の劣化 再生への道」(山上信吾著、文藝春秋)駐豪大使の激白の書、日本よ!再び立ち上がれ!

前駐豪大使の山上信吾さんが人生をかけて激白しています。 日本外交の劣化が叫ばれて久しいですが、安倍外交によって一時よみがえったように見えた日本外交がいま劣化の極にいると、山上信吾さんは激白しています。 この書を書き残して、外務省を出た山上信吾氏。 告発の書でもあります。 人間の、官僚の、組織の劣化は、企業であればその存続が、国家であれば国益が決定的に棄損されます。 山上信吾氏が昭和36(1961)年生まれの、私と同い年であるだけに、その焦燥感は骨の髄まで理解できます。

「高峰秀子著『わたしの渡世日記(上)』(文春文庫)はメチャおもろい、それは高峰秀子の人間性がほとばしっているから」

これは高峰秀子の「回顧録」 「わたしの渡世日記」は高峰秀子のいわば「回顧録」です。それくらいの格調があります。 高峰秀子の感性、人間性がほとばしっていてこれほど面白い読み物はなかなかありません。 5歳で松竹蒲田の子役としてデビューし、昭和のはじめから昭和十年代を子役から娘役、女優となっていく高峰秀子を自身の口で振り返っていくのが、この「わたしの渡世日記」の上編に納められています。 映画が無声映画からトーキーへと変わる日本映画創成期の偉人たちが数々登場するのも興味が尽きませ

「ローマ人の物語Ⅴ ユリウス・カエサル ルビコン以後」塩野七生(新潮社)ー再読ー

やはり、「カエサル以前にカエサル無くカエサル以後にカエサル無し」 『「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」塩野七生(新潮社)ー再読ー』(下記)でも冒頭に書きましたが、 「ローマ人の物語Ⅳ ユリウス・カエサル ルビコン以前」塩野七生(新潮社)ー再読ー|りょうさん やはり「カエサル以前にカエサル無くカエサル以後にカエサル無し」です。 この、「ローマ人の物Ⅴ ユリウス・カエサル ルビコン以後」は、カエサルが40代のほぼ十年をかけてガリア(現在のライン川以西のドイ

高峰秀子著「ベスト・エッセイ」(斎藤明美編)ちくま文庫/大女優の生誕百年に相応しい珠玉のエッセイ集

愛称・デコちゃん、高峰秀子のエッセイは絶品 かなり前に、日本が誇る大女優高峰秀子については、記事にしました。 現在も、生誕百年の企画が各種催されているようです。 もちろん女優高峰秀子は映画によってなっていることは間違いありません。 それほど多くの名画がこのヒトを演技者としてつくられました。 しかし、です。おそらく表題のエッセイを含めて、高峰秀子の文筆活動のほうもこれはすごいものだということなのです。 エッセイスト・高峰秀子 高峰秀子が、極めて優れたエッセイスト、文筆家

「絶対に読むべし!『わが投資術』清原達郎著、日本のバフェットといっても言い過ぎでない。個人投資家必読の書」

すでにベストセラー『わが投資術』(講談社) 日本初の、日本人による日本人のヘッジファンドサクセスストーリである、「タワーkファンド」のオーナー(でいいんだろう)、清原達郎氏のベストセラー『わが投資術』(講談社)の紹介です。 Kindle版はこちら 引退をした清原氏がその投資哲学のすべてを日本人の為に語り残してくれた 数年前にがんで声帯を失った清原氏はヘッジファンドオーナーを引退した。しかし個人投資家としての清原氏は、この8月の日銀暴落のとき、200億円で日本株を拾い買

『日本の経済安全保障』高市早苗著(飛鳥新社)

日本にとって今最も重要な「経済安全保障」。最も有能かつ志高い保守本流の高市早苗氏が取り組んでくれていることに感謝したい。 この書は、 難しい内容にもかかわらず、非常にわかりやすく書いてくれていて好感持ちました。 ただただ、日本の為を思って政務に取り組んでいることが伝わってくる。 具体的内容と共に高市早苗氏の思いの深さ、重さの伝わる良書でした。 次期総理、もう高市早苗氏で決まりと言って良いと思います。