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第12話 エリリカの宣言

 そろそろエリリカが、フレイム王国に今後のことを発表する時間だ。二人は揃ってフレイム王国の城門前に移動する。
 成人した日に今までの平穏な生活を失った、哀れな王女。急に国のトップとなって、統治しなければならなくなった、フレイム王国の王女。大勢の国民を前に物怖じせず立っているエリリカを、アリアは後ろから静かに見守る。
 観衆の中には、フレイム城の全使用人やライ大臣の顔もあった。見渡す限りに緊張を滲ませた顔が並んでいる。
「本日はお忙しい中お集まり下さり、ありがとうございます。昨日のことを知っている方が、ほとんどだと思います。私の父と母は亡くなりました。今日からは私がフレイム王国の王として、女王として、統治していくつもりです。成人したばかりで政治は勉強中だけど、真剣に向き合うからついてきて下さい」
 集まった国民に向かって深く頭を下げる。それから一拍置いて、国民から大きな拍手が沸き起こった。アリアが国民を見回すと、皆が笑顔で迎え入れてくれているのが分かる。エリリカは「ありがとう」と言うと、もう一度深く頭を下げる。アリアもその後ろで頭を下げた。
「それから、父と母がなぜあのようなことになったのか。それについて、アリアと一緒に突き止めてみせます。絶対に。だから皆様は安心して待っていて下さい」
「え、えぇっ!?」
 頭を下げていたアリアは、自分の名前が聞こえてきたことに驚いた。しかし、そこはエリリカのお付きメイドであり、フレイム王国のメイド長である。務めてきた十八年間、伊達に振り回されてきたわけではない。
 アリアは何気ない表情を装って、すぐに話を合わせた。
「も、申し訳ありません。私も精一杯お手伝い致します」
 それこそ、アリアができる精一杯の笑顔で。

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