僕は。

僕は、前の職場と一番お世話になった先輩二人に会いに行くことにした。
二人の先輩とは高校からの付き合いでよく3人で遊んだ。

二人はもう結婚して子供もいる。
家族ができてからは会う頻度は減った。


まず、先輩の一人に会いに行った。先輩が結婚する前は毎日のように遊んで呑んでを繰り返してた。

連絡してみると「来ていいよ」って快くOKしてくれた。

僕は今はアルコールは飲まないから奥さんがいつも飲んでるノンアルコールビールを出してくれて

「乾杯!」

久しぶりだった。


先輩は家族のために日々、仕事に育児を頑張ってる。


子供たちが姉弟ですぐ喧嘩するらしく

お人形の取り合いや、見たいDVDでよく揉めてるんだって。

大体弟が泣くらしい。

休みの日は色んなところに連れてって、最初は元気だけど帰る頃には疲れて寝ちゃうらしい。

夜になればお風呂やトイレで忙しく、

なんやかんや、夜遅くに一息つけるんだって


こんな話をしてるとたまに子供たちが「パパ」って寄ってくる。

奥さんとも交流がある。

年下なんだけどしっかりしてるから同い年に感じてしまう。

先輩にしてほしいことを冗談交じりで話して、先輩は少しタジタジだった。


前にはなかった会話がそこにあった


家族っていいな。

僕も自分のことを一通り話してまた会おうって


「今度は呑みにいきましょう。今日はありがとうございました。」


そう頭を下げて玄関の戸を閉めた。


前働いてた職場にも行ってみた。

そこにはお世話になったもう一人の先輩がいて、そしてお世話になった職員さんもまだ多くいた。

連絡せずに行ったもんだから突然現れた僕に

「久しぶり!急にどうしたの??」って皆が寄ってきてくれて

僕は「近くに来たから」と答えてみた。


先輩には、昨日もう一人の先輩の家に顔を出したことを伝えた。先輩たちもお互いに忙しく、会えていないらしい。

この先輩も家族がいる。


奥さんのことが大好きで。

子供が可愛くて

仕方ないらしい。


先輩は子供ができる前とできた後では全然違うって言った。


だろうね。分かるよ。

だって先輩、パパになった顔つきしてるもん。


嬉しそうに話す姿に僕も嬉しかった。


それから他の職員さんとも話した。その場の懐かしさを感じながら色んなことを話した。

「今もここは変わらないよ」って

「いつでも戻ってきておいで」って

嘘でも嬉しかった。


会話は僕の話しにもなって

最近は仕事でこういうことしてる。
こういう立場でこういう悩みもあって大変なんだけどやりがいはあるんだ


って


少し盛って話してしまった。



でもいいよね。


先輩とは将来のことも少し話した。

今の生活に不安はある。でもどうにかなる。まだ夢を語れる。
そんな童心も持ってる。


だから今の生活がいい。

だから今の生活が楽しい。

幸せかどうかは分からないけど必死で生きてる。

って。



あっという間に時間は流れた。


すごくすごく楽しかった時間は流れた。


「では、そろそろ」って椅子のひく音。


突然来たのに長々居座って、すみませんでした。

楽しかったです。


元気そうでなによりだよ。

またいつでもおいで。


ありがとうございます。


最後の挨拶を交わしてその場をあとにした。


その後の会話で

僕に対して


なにか、寂しさを感じますね。


そこで働く女の子が呟いたらしい。



僕は少し嘘が下手だったみたいだ。




僕は優しい

僕は真面目で

僕は素直で

僕は綺麗で

僕は可愛くて

僕は格好よくて

僕は美しくて

僕は素敵だ。

本当の僕は素敵なんだ。








そして僕は首を吊った。

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