徒然物語58 フールプルーフ
痛い、痛い!
頼むからそんなに強く叩かないでくれよ!
ちょっと間違えただけじゃないか!
『機械発注のご依頼』
こう出力しようとして、
『奇怪爬虫の呉懿雷』
って誤変換しちゃっただけさ!
誰にでも間違いはあるだろ?
しかも、「はっちゅう」を誤って「はちゅう」って入力したのは、他ならない、あんたなんだぜ!?
なのに、全部おれが悪いかのようにエンターキーに渾身の一撃をかますのはやめてくれ!
大体、おれたち機械の間じゃ「フールプルーフ」は基本の“き”だぜ。
人間は間違う生き物って考え方だ。
文章を閉じる前に「保存しますか?」って表示されるのとか、
扉をしっかり閉じないと作動しないプレス機とか。
ほかにも、電子レンジに洗濯機にコンセントに…
身の回りいたるところでフールプルーフの考え方が取り入れられている。
それなのに、まったく!
こっちは人間様にこれだけ配慮してるっていうのに、この扱いったらないぜ!
こいつをパワハラで訴えたいってもんだ。
おれに人権はないのか?
…うん、おれ機会だから人犬はないよね…
…また変換ミスってら。
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