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ネタバレしかない「あいつが上手で下手が僕で 人生芸夢篇」あらすじ&感想

あらすじというかほとんどストーリーの紹介なのでストーリーを知ってから見るかどうか決めたい人向け、見た人向けの感想です。

ストーリーを知らずに見たい人は今すぐ大阪城横の森ノ宮ピロティホールの11月28日からの公演に行く準備をするか、12月1日の配信を見てから読んでください。(公式サイトはコチラ) 

https://kamishimo-stage.com/

準決勝後の各コンビが描かれる冒頭。
私は直近のドラマがあまり肌に合わなかったので面白いのかなとかなり不安に思いながら見ていました。
けれども湘南の海で準々決勝が終わって数時間も経たないうちからネタ合わせをするエクソダス。そこに現れる島の父親。そして始まる島の父親と島と時浦の軽快なやりとりに、私のすきなカミシモ返ってきた!とすぐに手のひらクルーしてしまいました。
空気感が違う、リズム感が違う、全てがドラマと違う!初めて舞台のカミシモを見た時の感覚が蘇りました。

借金返済の報告をした島に対して観客も一緒になって拍手をすると世界観を崩さないように「カモメ達もよろこんでるよ」と、その場、その場で臨機応変に面白いことを言って場を温めてくれる時浦と島に顔が勝手に笑顔になってました。
時浦の島に対する「返し忘れてる借金があるんじゃないか」という言葉と島のスマホへの不審な着信という伏線を残し、次はラストワルツのパートへ。

ラストワルツは居酒屋で打ち上げ中。一気飲みをする岬、それにちょっかいかける高砂、ラストワルツのファンのクセのある店員との掛け合い、高カロリーな楽しいシーンが続きます。その途中、席を立った岬は、兄からかかってきた電話で父の病気と病状がかなり深刻なことを知る。席に帰ってきた岬の様子がおかしいことから何があったのかを無理やり聞き出した高砂の「想像の8倍深刻だった……」というセリフが逆に深刻になりすぎなくて高砂の明るさに救われました。

ロングリードはワイルドカードという敗者復活システムの選考結果発表を、掃除という徳を積む行為をしながら待っていました。結果は2位。「2位なんてほとんど受かってるようなものじゃん」といつも通り全肯定の犬飼に犬飼の全肯定には疲れた湾野は「ネタ書いてないやつに生みの苦しみわかるかよ」と犬飼を突き放すような言葉を放つ。このシーン、犬飼のことを思うと胸が痛くなりました。だってネタ書いてないことは事実なんだからもうそれ以上なにも言えないじゃないですか。反抗期の子供が産んでくれなんて頼んでないと親に言うくらいの攻撃力があります。
ネタ好きで書いてるのは湾野だろ。何いってんだよの気持ちですよ。湾野は同じくネタを書く側の鳴宮と飲みに行くと行って出ていくのですが(鳴宮の出演は今回の舞台にはありません)まさかこれがあんな事態を招くことになるとは……

三者三様の準々決勝後が描かれた後はオープニングです。テーマソングが流れる中、アニメのOPのようなかっこいい演出は毎度のことなんですけど今回もテンション上がりました。
島がサングラスずらしてウィンクしてくれるの最高すぎて近くの席からでも遠くの席からでもいつでもオペラグラス構えてました。
オープニング明けはもうパチワンの前々日、有楽町ホールにパチワンに向けての調整のため集合するエクソダス、ラストワルツ、ロングリードの3組。
3組が楽屋を模した2階建ての舞台でワチャワチャしてる様子は本当に目が忙しかったです。
話題はお笑い芸人としての夢の話からどうしてお笑い芸人を目指したかになっていきます。
島が過去鳴宮と組んでいた時の話になると拗ねる時浦が可愛かったです。
32歳という設定(演者は34歳)で唇尖らして「へーんだ!」って拗ねて可愛いとは本当に何事でしょう。
そこからそれぞれ父親も芸人を目指した要因のひとつになっているという話題になり、父親の居ない時浦に気を使う雰囲気に。なのに高砂が「親孝行は親父が生きてるうちにしねぇとな」と空気を読まない発言をします。それが刺さってしまったのは時浦ではなく……。
そうこうしているうちにロングリードのスマホが鳴ります。
相手は直近のドラマに登場したエクソダス、らふちゅーぶ、ロングリードのマネージャである佐渡さんでした。
なんと、パチワン準決勝に参加予定のコンビが出られなくなったため、ロングリードの繰り上がり合格が決まります。
参加を断念したコンビは、らふちゅーぶでした。鳴宮が食中毒になったのです。それも、湾野と飲みに行ったことが原因でした。
湾野は責任を感じて参加を辞退すると言い張ります。ロングリードのパチワン参加は一体どうなるのか……。

そんなことがあった次の日、岬はお見舞いになんか行かないと行っていたお父さんのお見舞いに来ていました。
厳しくて怖かった父親が病気で衰えて小さくなって、そんな父親に対面して反発心から芸人になったけど父親に対する気持ちは怒りとか憎しみだけじゃなかったのではないかと気づきをもたらすシーン。胸にジーンと響きました。
時を同じくして有楽町ホールでは午前の自分の出番に姿を現さなかった島の捜索本部が設置されていた。
これが踊る捜査線のパロで青島コートを着た時浦、ロングリードの二人、高砂さん、島のお父さんが踊ったりしてくれるんですけど、踊る大捜査線世代の私は大喜びでした。でも、若いオタクには分からないのでは?という一抹の不安もあります。
高砂さんがこっそり室井さんのマネしてたんですけど、そういえば今ちょうど映画をしていてわざとじゃないならタイミング神すぎ。わざとなら天才の脚本だなと思いました。
このタイミングでロングリードの二人が胸の中にそれぞれあったわだかまりをぶつけ合い二人はやっぱりパチワンに参戦することを決意します。
島の件はというと解決せず、時浦は一人夜の出番の準備を始めることに。
実は、島、過去の借金が原因で借金取りにさらわれていました。
チンピラに詰められて半泣きの島、情けないのにどこか憎めなくてかわいかったですね。
闇金の偉い人まで登場して借りた50万が500万近くまで利子で増えていることが判明。(この時、時浦が舞台の端っこで一番初めの舞台でウケなかったひらがな博士のネタを披露しているんですけど、初回、みんながひらがな博士だ!って笑いすぎたせいで次の公演からスケッチブック白紙になってました。でもネタはひらがな博士をしているようです。)
借金の額500万と言えば……そうパチワン優勝して優勝賞金でしか返せない金額です。島もそう考えます。闇金の偉い人に直談判したところ、ネタを披露して面白ければそれを飲むという条件のもと、一発芸をさせられるはめに。
ここ、日替わりなんですけど、毎度たのしませてもらいました。
もちろん滑ることもあるんですけど、滑るとほかのメンバーが擦るのでそれも含めて面白かったです。
ほとんど満員の劇場のど真ん中で一人、自分が考えたネタ(たまにほかの出演者がくれたネタ)を披露する和田さんはそれだけで格好良かったです。

ネタを披露した心意気を認められた島は、有楽町ホールに帰ることを許されます。
しかし島は闇金の偉い人に一つ条件をだされていました。それをなかなか劇場にいる皆に打ち明けられずにいると待ちかねた闇金のチンピラと偉い人が劇場に乱入してきます。闇金側が出していた条件は島の借金返済の可能性を上げるためその場にいるコンビ全員に連帯保証人になってもらうということでした。闇金側はほとんど脅しに近い形でそれを承諾させようとします。
そこでキレたのは時浦でした。
闇金の偉い人に口論をふっかける姿は普段の時浦からは考えられないほど男らしくかっこよかったです。
理屈をこね合う時浦と闇金の偉い人の二人はどこか似た者同士に見えてきます。
島が時浦の名前を呼んだことから闇金の偉い人の様子がおかしくなってきます。そう、実はこの闇金の偉い人、時浦のお父さんだったのです。
動揺からその場を逃げ出す闇金の偉い人こと時浦パパ。
一度は劇場をあとにするものの追ってきた島と島のお父さんに説得されてもう一度、劇場に戻り、息子との会話を試みます。
時浦はもちろん反発します。結果的に初めての親子喧嘩をするわけです。時浦がずっとしてみたかったことの一つである親子喧嘩を。
時浦が想いを全てぶつけ、時浦パパも事情を全て話します。お互い嘘偽りなく本音を吐き出す人間と人間の純粋な感情のぶつかり合いに胸が熱くなりました。
そして時浦と時浦パパは和解し、島の借金は許され元金の50万となります。
いや、こんな借金の解決方法ある???とはなるのですが、時浦と時浦パパのやり取りが感動的なので何故か納得できるんですよね。

時浦の父親の話、島の借金の話が解決した有楽町ホールには穏やかな時間が戻ってきました。
エクソダス、ロングリード、ラストワルツはそれぞれ抱えていた問題を解決し、晴れやかな気分でパチワン本番を迎えることになるのでした。

そして始まったパチワン。
それぞれ各コンビにつき持ちネタは2つあって回代わりで披露されます。
出順も毎回日替わりです。

ロングリード
1つ目のネタはロングリードの二人は小学校からの幼なじみというつかみから入る運動会ネタ。
湾野が小学生がやる小学校の運動会のアナウンスのモノマネが上手すぎる。
犬飼がずっと忙しなく動いててキレのある動きキレのあるツッコミに爆笑しちゃいました。「ライブパートもあるんだから!」というメタネタも忙しなく動いてるからこそ笑えるネタでした。

2つ目のネタは湾野が一人ボケて一人ツッコんで全然犬飼がツッコませてもらえないネタ。街ブラロケをやりたかったのに湾野が一人うるさいせいで全然街ブラロケさせてもらえなくて面白かったです。しかも街ブラロケの始め位置が湾野から遠いのでツッコミに戻る時にまたしても猛ダッシュで後半のライブパートが心配になりました。街ブラロケを始めようとすると声が低くなる犬飼も笑いを誘いもっと長く街ブラロケ見たい!ってさせるところもポイント高いです。

ラストワルツ
1つ目のネタは万引き少年をカッコよく引き止められる大人ができるのかというネタでした。ラストワルツはいつも完成されたネタで
どこのシーンを取っても面白いんですけど私は万引き少年役高砂が万引きしたお菓子を箱ごと食べてしまう岬が好きでした。前回の舞台であっちあちの鉄板パズルに落とされた卵食べちゃう岬を思い出しました。

2つ目のネタは行きつけの店ってある?から始まるメニューにおいしそうなキャッチコピーをつけられる高砂それに比べておいしくなさそうなキャッチコピーつけちゃう岬の対比という構図が面白い漫才でした。最初行きつけのネタを息継ぎのクセと聞き間違えた岬が平泳ぎだとこうなるを示してくれたの爆笑しちゃいました。しかもちょっとあるあるだし。聞き間違えネタは高砂がお父さんの「競輪は儲かるぞ」を「芸人は儲かるぞ」と聞き間違えて芸人になったところからきてるのかな。

エクソダス
1つ目のネタは時浦に夢ができたことからできたと思わせるネタ。自分の店、駄菓子屋を持ちたいという時浦にじゃあやってみましょうかと島が小学生役をする漫才でした。
小学生世紀くんに全然優しくない時浦が面白かったです。
東京楽では小学生って自慢とかするで優しく対応できる?から小学生世紀くんがこれ見て!と時浦に何かを示すたびに島役の和田雅成さんのCD(2024/12/11発売予定「Raise」)?と中の人をいじるようなやりとりがあり、涙出るほど笑いました。

2つ目のネタはお母さんって口うるさいよねというあるあるから始まる僕ならいいママになるんだけどな〜と時浦がママになるネタでした。ちょっとうざい時浦ママに翻弄される思春期世紀くんが面白かったです。エクソダス今回、特に時浦ママネタはアドリブが多くて毎度笑わせてもらいました。味方であるはずの時浦に笑かされて漫才どころじゃなくなる島にも笑いを誘われました。

パチワンの漫才が終わるたびに挟まれる司会役の方の一言もいつも会場爆笑でした。たぶん毎度アドリブなんですけど安定感がありました。

パチワンの結果はラストワルツだけが決勝に残り、ロングリードとエクソダスは落選ということでしたが燃え尽きる島へのライティングが神がかってて燃え尽き度マックスという感じでした。
けれども準決勝敗退組は敗者復活があるらしくまだまだ誰が優勝するか、わかりません。
も、もしかしてカミシモまだ続くのか?!
それならめっちゃ嬉しいです。ちゃんと決勝も描いてほしい。
頼みます運営さん!

そして最後に明かされる時浦の新しくできた夢。夢もなく芸人やってるのかよ!と時浦の夢がないと聞いたときはおどろいたのですが、時浦が見つけた夢「湘南劇場の再建」は私達視聴者も求めていたことですごくいい夢だなと、この笑えて泣けてジーンと感動もできる最高の舞台の最後を飾るにふさわしい良い余韻をもたらしてくれました。

最後はライブパートで締められます。
初日と二日目昼公演ではなかった2階への客降りも公演途中から始まって、確かに2階も同じ料金だしアンケートとかで不満の声が上がったんだろうなとは思ったんですが途中からとは言え2階への客降り追加してくれた運営さんには感謝です。いや、本当に実は2階も同じ席の料金なんですよ……(カミシモだけが悪いというわけではないんですが演劇業界がもっと席によって料金を変えたり、料金が同じならできるだけ皆が同じように楽しめるような舞台を目指すようになってくれると嬉しいですね)

舞台カミシモ、本当に楽しかったです。
まだ大阪公演もありますしもしチャンスがあれば現場で観劇してほしい。それが難しくても配信を観てほしいと胸を張って人に勧められる作品でした。

大阪の舞台は大阪城近く、森ノ宮ピロティホールで11月28日木曜日〜12月1日日曜日までの計7公演
配信は12月1日の午前午後の二回
お見逃しないように。


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