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ステラおばさんじゃねーよっ‼️㊽葬儀準備
👆ステラおばさんじゃねーよっ‼️㊼亡骸 は、こちら。
🍪 超・救急車
一夜にして聖の親族となったカイワレは、聖の遺体を引き取るために死亡診断書の取得や退院手続きをした。
諸々終えて午前中に斎場へ入る事ができたのは、ひかりが葬儀の手配をしてくれたからだ。
神林グループに葬儀会社があり、速やかに葬儀の準備が進められた。
カイワレはぬけがらのまま、現実逃避していたかった。
けれども喪主として、葬儀の準備に携わらねばならなかったし、その忙しさで正気を保てているところもあった。
遺影を選ぶ時には、先月施設に訪れた時の満面の笑みこぼれる聖の写真を見つけて、うずくまりそうになったが。
またポーちゃんの助言により、祭壇は聖が大好きだった白いカーネーションで彩られていった。
児童養護施設の関係者には、聖の訃報および通夜、告別式の日時を電話で伝えた。
その際カイワレは、聖の親族としてではなく、聖に依頼された形で卒園者代表として、取り仕切っている事も付け加えた。
それは自分自身が身内なのだと園の関係者に伝えても無意味だし、面倒になると考えたからだ。
関係各所へひと通り連絡が終わると、ひかりがカイワレに告げた。
「たいしろうさん。式が始まれば喪主として、終わりまでずっと、沢山の人に接しなければなりません。だから今のうちに休んでおいてください。この近くにあるうちの系列ホテルに部屋を取ったので、そこで少しでも仮眠を取ってください。その間はわたしとウタで対応してますから、安心くださいね」
カイワレへ向けたひかりの笑顔は、さすがに疲れの色を隠せなかった。
「いや。ふたりもしんどそうなのに俺だけって訳には」
「あなたは喪主です!!」
ひかりはピシャリと強く言い放った。
「今あなたに倒れられて困るのは、わたしたちなんです。どうか無理にでも休んでください。お願いします」
頭を下げて、ひかりはカイワレに懇願した。
そして傍らで待機していた運転手に、カイワレをホテルへ送るよう、ひかりは指示した。
カイワレは感謝の気持はあっても、能面のような表情を崩せず、頷くだけだった。
⭐︎
知波は夜勤の休憩時間に、聖の病室の扉を開けた。
するとそこには綺麗にメイクされたベッドと何も置かれていないキャビネットが、あるだけだった。
聖の影は、見当たらない。
すべてを一瞬で悟った知波は、緩和ケア科のナースステーションへ駆け込んだ。
「あの、703号室の河愛さんは?」
そのフロアの看護師は、
「今朝、お亡くなりになりましたよ」
と淡々と知波に伝えた。
「遺体は、誰か引き取りに…来ましたか?」
するとその看護師は、
「詳細は個人情報のためお伝えできませんが、男性2名、女性1名で引き取られていったようです」
と知波には目もくれず、点滴の充填をしながら応答した。
…男性2名と女性1名。
もしや、児童養護施設の関係者?!
知波は極力動揺を相手に悟られないように会釈し、その場を足速に立ち去った。