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【エッセイ】エンパス! 現実主義の母と私と幽霊と 6. 前世の記憶


 人間、何かよっぽどショックな事がないと性格とか習慣ってなかなか変えられないと私は思っていて、自身の場合で言うなら、「嘘つき」と言われた事が良くも悪くも己に影響を及ぼしたきっかけとなっている。

 母に言われた「嘘つき」と、同級生に言われた「嘘つき」。どちらも胸をえぐったが、特に同級生に言われた時がよりショックは大きかった。さて、その違いは何なのか――、

 要は己に対しその行動が胸を張れるか張れないかの違いだったのだろう。
 本当なのに嘘つきと言われるのと、嘘をついたから嘘つきと言われるのと……。
 中学一年の時はとにかくそれで罪悪感に苛まれたし自分を卑下したりして、しばらく殻に閉じ籠った。


 だが、それからだろうか。そのショックがきっかけになったのかは分からないが、それ以降、霊体験とは別の不思議体験をするようになったのだ。

 例えば、前世の記憶のワンシーンが蘇るのもそれに含まれる。

 全部の記憶ではない。その時の私が何者で何をしている者なのかの明確な所は分からない。本当にその時の人生の一場面だけが急に脳内に差し込まれ、映像を見せられた事で私自身もそれが前の記憶だと納得する。

 前世の記憶として一番初めに見せられたのは首を切り落とされる場面だった。


 時代はたぶん中世ヨーロッパだろうか。
 広場のような所で兵士に長い棒のようなもので動きを封じられていて、そのうち首を切り落とされた。

 自分の視点からしか状況が見えないので、その時の自分が何者なのか、何をして拘束されたのか、男か女かさえ分からなかったが、首を落とされた直後は視界がぐるりと一周した。

 それを見ていたドレスを着た婦人が両手を口にあてる所で記憶はブツっと途切れている事から、人間は首を切り落とされて数秒は意識があるものと思われる。


 それとは少し違うが、自分がこの世に生まれ出る時の記憶もまた、ある日突然蘇った。

 暗いトンネルの中にいる私は明るい光が差す方へと導かれながら進んでゆく……。
 その時、私は必死になってある事を願っていたのだ。それは、

心が痛い方がマシです。どうか今度は体の痛みより心が痛い方の人生でありますように

 そんな切実な願いだった。
 それと同時に、もう戦争は嫌だ、切り刻まれたくない、痛いのは嫌だという思いも蘇ってきて、更にはその日から何故か“アンネ・フランク”が妙に気になりだしたのだ。

 まさに私だというような、何か人ごとではない感覚で、ナチスとかユダヤ人とか収容所とか、資料や映像を見る度に体の奥の方からザワザワして胸が重く苦しくなってしょうがない。

 この事から、おそらく私の一つ前の前世は迫害されたユダヤ人なのでは?と思っている。
 今世に一番影響を与えるのが一つ前の前世だと言われているし、そうでなければこの感覚は説明がつかない。

 この二つの前世の他にまた違う前世の記憶も後に蘇る事になるが、それはまた別の記事にて記そうと思う。


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