布団の上で僕は天井の表層に沁みたカーテンの影をうつらうつらと眺めている。形はいつまでたっても定まらない。日が落ちてきていて、微妙な変化がこの中で動き続けている。客観的に見るとまるで高尚な物事をまじまじと考え続けているようにも感じるかもしれないけど、頭の空にはピンクな妄想をしている。ピンクというと何か勘違いを浮かべてしまうので、細やかに注釈を加えると、ピンクといってもその色はJKが同じ仲間の中で自分のことをいくらか優位に見せるようなストラップのようなピンクじゃなくて、春先に咲く桜のように空に溶けていくようなピンクだ。
ガチャ。
僕はいつものように家でゲームをしている。今やり始めて山場の真っ最中だ。でもそんな中でも何か薄く存在を感じる。ねえ、これに答えるのは面倒だ。ねえ、…ねえ!……画面に対する集中は一瞬で絶対零度になった。何…。彼女は僕のしている行為に対しての重要性に無知で、かなめの腕の可動域を腕組みで妨げる。さっきの一つ返事の効果はこうも速攻なのかと呆れる。ねえ、やめてくれる。やめない。これってさ、hの続編でしょ!前に友達がやってたんだ、面白いの?知るか。と言いたくもなったが、べつに俺の趣味に合わせたりなんかしなくてもいいよ、と半分半分の感情を優しくぶつけた。
AM 11:00。僕は彼女のブラウスのボタンをもたつきながら取ってやり、彼女は僕のジーンズのチャックを慣れた手つきで下ろす。カーテンを閉めるのにはまだ早い時間で、光は煌々と二人を照らす。僕らは嘘のつけないからだになってから横たわった。
風はとても強いのが懸命に僕の耳に届くのがよく聞こえる。
ゲーム画面はおまけ映像がループしている。布の影は少し濃さを増している。タバコを吸う僕の横で目を閉じて寝ている彼女は何を考えているのか、わからない。そこに少し黒いものを感じて、鼻をすすってみる。一瞬消えていた匂いはより鮮明になって帰ってきた。僕は灰皿に吸い殻を押し付けて、弱くて優しい彼女の腹の上に置いて寝る。耳には汚いものが移動する音がよく聞こえるのに何も感じない。
起きれば、もう夕日の空だった。ずっとそばにいたと思った彼女はもう帰ってしまった。後頭部の鈍く辛い痛みがじわじわと現実に戻す。窓を開けて一服する。彼女はなんの一言もなくふと訪れては、そことなく時間を無駄に払っていなくなっていく。何かそこに恩や恨みといった複雑なものが入っているとは思えなくて、いつしかなんの疑問を持つこともやめてしまった。でもそれでいい。これ以上のものを要求したって不利益でどうしよもない。そう思っているうちに部屋はもう見えなくってしまった。僕はループを止めて、再生する。