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1.17 シーン

   東洋館の初席は1月5日までなので、わたしの初席の出番は出られる3日と4日でおわり。どちらも縁起よく『一目あがり』をかける。んん、二日とも落語を演った。ということでおわってしまった感もあり。また、わたしの仕事はこれだという想いもあり。そして、前座なしの一番手なので、前座や二ツ目が前で「場」を整えたあとにあがるありがたさも当然感じる。いつもならあとの受け方も気になり楽屋にいるが、初席の楽屋は混むので早々にあとにする。それでも、午前10時前。かつてあった、鈴本演芸場の早朝寄席が午前10時だから、相当早い。
   正月の浅草の街にはだいぶひとが戻った。昨年は海外からの観光客が目立っていたが、今年はどちらも多かったようで、それは、初席の入りにもそのまま反映される。一昨年だったか、その前だったか、客席に3人という日があった。初席の落語家のコンディションは悪い。早いはなしが年末年始の宴席がつづいての飲み過ぎだ。3人でも、いらしてくださるのはありがたい。その3人のお客さんを前にして「三遊亭 司と申しまして」という自分の名前で盛大に噛んだ。つっかえた。あの時の空気たるや、27年落語家をしていて、あんな空気はあの時だけ。
   漫画で無音の場面に「シーン」と書いたのは、手塚治虫というのは有名なはなしだが、手塚先生、ホントにシーンって音はするんです。

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三遊亭 司
書くことは、落語を演るのと同じように好きです。 高座ではおなししないようなおはなしを、したいとおもいます。もし、よろしければ、よろしくお願いします。 2000円以上サポートいただいた方には、ささやかながら、手ぬぐいをお礼にお送りいたします。ご住所を教えていただければと思います。