服装、髪形、肌の様子。それは人の印象を決めるから、ファッションや美容に関する情報はいつでも人気だ。
どんな人なのだろう、と誰かに興味を向けた時、人の外見はもちろんその人を印象付けている。ただ、内面を深く知るほどの時間をかけ、親密な仲になるわけでもないから、あの人は一体どんな人だろう、と考える時、何を感じ取ろうとしているだろうか。
これまであまり強く意識してこなかった事を悔やむのだけれど、どんな言葉を使ってどんなトーンで話すのか、どんな姿勢で立ち、歩き、座るのか、年齢とともにそれはそのまま人の内面を映している。
ファッションや美容の様子からは、調香のためのストーリーを構築するための要素はあまり得られない。ある人のための香りを創るには、ご本人と面して、少しでも話をしたいと思う。その人から薫り立つ何かを物語にして、実際の香りを構築したい。
言葉と姿勢については、ファッション美容媒体で大きく取り上げられることもないし、努力して言葉や姿勢をよく見せる技が身に着くという程、単純でもない。自分の歩く後ろ姿を自分で見たことのある人がどのくらいいるだろうか。
特別大事な何かの時に、素敵な言葉を素敵な姿勢で話す、ということはできない。毎日毎日の日々の一瞬一瞬、それが人の暮らしであり人生であり、生き様であって、特別な何かの時に人に見せるものは常に日々の総体なのだろう。
その人の佇まいから、美しい香りが立ち上りそうな人には強く惹きつけられる。それは後ろ姿だったり、ふとした横顔だったりする。
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