自走型組織がつくれないクリニックの特徴
経営相談やお客様からのご質問で多いのは自走型組織をつくりたいというものです。
私のお客様のクリニックでは、自走型組織になっているクリニックとなっていないクリニックがあります。
日頃からそういう2つの組織を俯瞰してみていると、その違いをいろいろ発見できますが、私が思う最大の違いは、戦略と戦術の役割分担がうまくできていないということになります。
簡単に言えば、戦略とはクリニックの方向性を示すこと。
戦術はその戦略を具体的に現場でどう考え、実行するか?ということです。
戦略と戦術の違いについては、ほとんどの先生がご理解されていますが、役割分担をわかっていない先生が多いと感じています。
自走型組織をつくりたいと思っているけど、つくり方がわからない。あるいはがんばっているけど中々つくることができないという先生は、戦略と戦術の役割分担をご理解されていますでしょうか?
この役割分担がうまくいっている私のお客様のクリニックは自走型組織になっていますが、役割分担ができていないクリニックは自走型組織になっていません。
それでは、その役割分担とは何でしょうか?
それは、戦略を考え、その戦略をスタッフに示すのが院長の役割。
その戦略を現場で考え、実行する戦術はスタッフの役割ということです。
こんなことは当たり前のことじゃないか?と思われる先生も多いと思いますが、自走型組織をつくりたくてもつくれていないクリニックは、突き詰めるとこれができていないのです。
院長が戦略を考えていない、示していないのにスタッフに過度な期待をしている。
院長は戦略を考え、スタッフに示していると思っているが、スタッフは院長が十分に戦略を示してくれているとは思っていない。あるいはそれが戦略だとは思っていない。腹落ちしていない。
大概のクリニックで、スタッフと話していると、院長が何を考えているのかわからない。
だからどうしていいのかわからないということで困っているスタッフ、特に主任・リーダーは多いものです。
そして、戦術。
戦術はスタッフに自ら考えてもらい、実行してもらうのが基本です。
もちろん、初めのうちはスタッフが微妙なプランをつくってくることが多いので、チェックし、必要があればより良い方向に導く必要があります(つくってきてくれたものを木っ端みじんに潰すのは絶対にNG)。
しかし、院長が戦術まで事細かに指示するのはアウトです。
スタッフは自分たちが自ら考えたことはモチベーション高くやりますが、
院長に言われてやらされ感のもとやる仕事はパフォーマンスがかなり落ちてしまいます。
私の所属する会社にも「やる気の法則」なるものがあります。
人から無理矢理言われて嫌々ながらやった仕事の成果は1。
納得して行った仕事の成果は1.6。
さらに、腹落ちして自ら自発的にやった仕事の成果は1.6の二乗(2.56倍)というものです。
ですから、院長が戦術に関して、うだうだ介入してくるクリニック。
院長がスタッフに戦術をまかせられない(始めのうちはチェック、フォローが必要)クリニックはパフォーマンスが上がらず、自走型組織にならないのです。
自走型組織をつくれない全ての原因をつくっているのはだいたい院長です。
スタッフのせいではないことが多いです。
そのようなわけで、もし、自走型組織をつくりたいけど、中々うまくいかないという院長は、是非戦略・戦術の役割分担を意識してマネジメントしてみてください。
また、戦術を考え、実行してくれたスタッフには結果はどうあれ、感謝の気持ちを伝えることをお忘れなく