138億年の時間の中で☆第33話☆「光の差す方へ④」
いよいよ結合実習が始まりました。3日間のうち2日が電車とバスを使っておでかけ。集合場所も時間も変わります。事業所の受け入れ条件として、現地集合、現地解散を一人でできる人とありましたが、ここはフレキシブルに。サポートするときと距離を置くときの調整が必要だと感じています。
いつも利用するバスと反対方面のバスに乗ることができた
降車するバス停を理解していた
信号をまもることができた
待ち合わせ場所で大人しく座ることができた
スタッフさんと合流できた
出来たことを数え上げ、出来ないことを頭のなかでリストアップして彼が自立して行動するイメージをうかべてみる。字は読めない、数字はわからない、状況説明が拙い、でも一人で外出したい、家族以外の人と遊びたい。そんな彼にとっての「自立」を模索します。前日の夜に「明日はおべんとうを持っていくよ」と教えてくれて、私の方があたふたしたのだから、私以上に大人の自覚を持っているのかもしれない。
いわゆる「普通の子」だったら、小学校にあがるタイミングで親はハラハラするのでしょう。ついこの前まで、自転車に乗って、手をつないで園に送迎していたのに1年生になったタイミングで家から見送り、いってらっしゃい。事故にあわないかな、友達とトラブルおこさないかな??なんて落ち着かない気分を家事や仕事でかき消して、夕方、無事に帰宅したのを見届けて胸をなでおろす。私は、3倍も一緒の時間を味わうことができた。送迎の間に、彼の小さな成長を目の前で見る事ができた。本当にラッキーだと思う。
「一人でいけるから」とボソっとつぶやく彼の言葉に頼もしさと成長を感じる一方で、また距離をおくタイミングが迫っていることに寂しさも否めない。わかっていたはずだけど。
でも帰宅した時に見せる自信とすがすがしさをのぞかせる表情に、そんな感傷も吹き飛ぶはず。人の3倍時間をかけたんだから、3倍以上のおかえりなさいで迎えてあげようと思います。