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近江の画人 海北友松から小倉遊亀まで


近江の画人 海北友松から小倉遊亀まで

石丸 正運 編, 井上 ひろ美, 大原 由佳子, 國賀 由美子, 髙木 文恵, 森岡 榮一, 山口 真有香
B5変 164ページ 並製
ISBN978-4-88325-684-6 C0071
奥付の初版発行年月:2020年06月
書店発売日:2020年07月10日
価格:4800円+税

内容紹介

編者、石丸正運氏の指導を受けた滋賀県内美術館の絵画専門学芸員6人による分担執筆で、それぞれが専門分野の作者についてその作品紹介と合わせて画業や系譜を詳述。
戦国時代に刀を筆に持ち替えた海北友松に始まり、夭折の三橋節子、文化勲章受章者小倉遊亀まで、滋賀県が誇る54名の事績と作品を紹介。
20年ぶりの滋賀の画人総集録。

目次

■桃山画壇の巨匠 海北友松 浅井臣下 刀を筆に 8
狩野山楽 京狩野派の祖 12 友松・山楽の時代 16
■俳諧と文人画壇
 森川許六 蕉門十哲の画人 18 紀楳亭 湖国の人の愛された文人画家20
 横井金谷 旅する画僧
□ 張 月樵 正岡子規の高く評価した絵師 28
□ 僧 玉潾 ひたむきに墨竹に取り組む 30 
□ 青根九江 彦根城下から京(みやこ)へ 32
【コラム】祐常と応挙 34
【コラム】近江八景 36
■商いと文化の伝播
□ 高田敬輔 江戸中期、日野画人の祖 38 
□ 月岡接鼎 上方風俗画家になった敬輔に門人 42
□ 島﨑雲圃 関東文人グループに交わった日野商人の画人 44
 小泉 斐 下野生まれの雲圃の門人 46
□ 島﨑玉淵 風景を旅した日野商人 48
 【コラム】高田敬輔と曽我蕭白 50
 商家から生まれた画人
□ 野村文挙 近代風景画家の先駆け 52
□ 邨松雲外 湖東の自然画家 56
 林 東渓 湖東の円山派 58
□ 塩川文鱗とその門流 60
□ 野口小蘋 栄誉にあずかった閨秀文人画家 62
□ 野口謙蔵 蒲生野を愛した洋画家 64
■円山四条派と岸派の隆盛
□ 中島来章 幕末、明治の円山派 68
□ 長谷川玉峰・長谷川玉純 大津栄泉寺書院を画室に72
□ 渡辺公観 大津生まれ、自由画壇創設 76
□ 岸 竹堂 明治京都画壇の雄 写実と詩情 78
□ 広瀬柏園 覚淳法親王を巡るネットワーク82
 深田直城 大阪画壇の中心人物 83
【コラム】街道土産の大津絵
■花咲く近江の大名文化
□ 佐竹永海 関東文人画出身の彦根藩御用絵師 86
□ 可能永岳 禁裏御用絵師にして彦根藩御用絵師 89
□ 皆川淇園 儒学者 膳所版で経書進講 92
□ 中島安泰 直弼、岸竹堂、古藤焼の絵付師の師 93
□ 遠藤謙道 忠義貫徹の人 94
【コラム】彦根屏風 95
【コラム】大名御画 96
■岐鳳とその流れ
□ 山縣岐鳳 狩野派画家家に生まれ長浜に居住 98
□ 八木奇峰 岐鳳門下、京で大成 102
□ 市川君主 醒ヶ井に生まれる、贋作が仇に 104
 片山雅洲 雅邦の弟子で農民画家 106
 沢 宏靱 京都で活躍し故郷を想う 108
□ 中川雲屏 京で活躍した高雅な文人画家 110
 中川耕斎 岸派を修し郷里で弟子を育成 112
■桜と菊 花を描く女流画人
□ 織田瑟々 桜花の名手 114
□ 吉村万(満)香 謎多きの女性 118
□ 加納凌雲 耕斎・雅邦問かで女流画家 119
【コラム】鉄斎と布施太郎 120
■四条派の近代化と画学校の時代
□ 山本春挙 円山派を近代絵画に定着させる 122
□ 山本桜月 富士山を描き続けた 126
□ 疋田春湖 春挙に師事、湖国美術界復興に尽力 128
□ 柴田晩葉 大津、教養豊かな才人130
【コラム】県展のはじまり
■近江・琵琶湖を描く
□ 西田恵泉 故国の風景を描き続ける 134
□ 野添平米 写実的かつダイナミックな風景画 136
□ 茨木杉風 湖国の風景を描き続ける 138
□ 上田道三 「記録画」を描く日々 
□ 岩本周熈 菊池契月門下・終生高島に居住142
■近江の心を描く
□ 三橋節子 湖への鎮魂 144□杉本哲郎 宗教画家 148
□ 淡海槐堂と江馬天江 幕末の志士で書家・詩人・医師150
□ 小倉遊亀 一枚の葉っぱを手にするために 153
年表でたどる淡海の画人 157
参考文献 執筆者紹介 

著者プロフィール

石丸 正運(イシマル ショウウン)

1937年富山県砺波市生まれ、同志社大学大学院文学研究科修士課程科修了。美術史家。
滋賀県立琵琶湖文化館学芸員、滋賀県教育委員会事務局文化振興課専門員を経て滋賀県立近代美術館開設準備に携わり、1992年より滋賀県立近代美術館館長。1998年定年退職後は砺波市立美術館館長、滋賀県立琵琶湖文化館館長、彦根城博物館館長を歴任。文部科学大臣より地域文化功労者表彰を受ける
著書:『近江の画人たち』(近江文化叢書7)1980年サンブライト、『文化財を楽しむための鑑賞の手引き』(編著1987)、『近江山の辺の道』(共著2001)など。

井上 ひろ美(イノウエ ヒロミ)

1971年滋賀県生まれ。龍谷大学大学社会学部社会学科・佛教大学文学部史学科卒業。
文化遺産プランニング代表・文化遺産キュレーター。元滋賀県立琵琶湖文化館主任(学芸員)、元広島大学大学院文学研究科非常勤講師、京都国立博物館調査員。
編著:『金剛輪寺八十一尊曼荼羅開眼法要記念 平成大曼荼羅の造立』、共著:『史料繪絹から畫紙へ-岩野家所蔵近代日本畫家・學者等の書簡集-』など。

大原 由佳子(オオハラ ユカコ)

1987年愛知県生まれ、名古屋大学大学院文学研究科博士課程後期課程満期退学、滋賀県立近代美術館学芸員。
執筆論文「武蔵野図屏風の研究―島根県立石見美術館本を中心に―」『名古屋大学人文科学研究』(第43・44号、2016年3月)、「狩野永章筆「龍図」「天下和順図」について」『滋賀県立近代美術館研究紀要』(第10号、2019年3月)など。

國賀 由美子(クニガ ユミコ)

大阪府吹田市生まれ同志社大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。大谷大学文学部教授。滋賀県立近代美術館学芸員、同主任学芸員、同専門学芸員を経て現職
著書:『日本の近代美術 5 京都の日本画』(共著)(大月書店、1994)、『幸野楳嶺』(共著)(芸艸堂、1995)、『近江日野の歴史』第5巻 文化財編(共著)(滋賀県日野町、2007)、『秦荘の歴史』第4巻(共著)(滋賀県愛荘町2009)、『石山寺縁起絵巻集成』(共編著)(中央公論美術出版2016)など。

髙木 文恵(タカキ フミエ)

1968年青森県八戸市に生まれ、京都大学文学部哲学科(美学美術史専攻)卒業。彦根城博物館学芸史料課主幹。
担当展覧会:『国宝 彦根屏風』(共著)(東京文化財研究所、彦根市 2008)、「彦根屏風への誘い」展(1998)、「彦根藩御用絵師・佐竹永海」展(2000)、「伝統と革新-京都画壇の華・狩野永岳-」展(2002)、「井伊家歴代の肖像」展(2003)、「コレクター大名 井伊直亮-知られざる大コレクションの全貌-」展(2016)など。

森岡 榮一(モリオカ エイイチ)

1956年兵庫県神戸市生まれ、仏教大学大学院文学研究科東洋史学専攻修士課程修了。長浜市長浜城歴史博物館副参事(学芸員)を経て長浜市曳山博物館学芸員。滋賀県銃砲刀剣類登録審査委員。大阪府銃砲刀剣類登録審査委員。
著書:『豊臣秀吉事典』『織田信長事典』(共著)(以上新人物往来社)『戦国時代人物事典』(共著)(学研)、『八木奇峰と2人の師匠』『湖北の画人 沢宏靭』(以上サンライズ出版)など。論文:「長浜城下町の成立について」「下坂鍛冶の所持銘のある作刀」「湖北の鍛冶-草野鍛冶-」など。

山口 真有香(ヤマグチ マユコ)

1977年京都市生まれ。関西学院大学大学院文学研究科美学専攻博士課程後期課程満期退学。滋賀県立近代美術館主任学芸員。
執筆論文/「上方の浮世絵の発生と展開─役者絵を中心に─」(『美学論究』第二十編 2005年)、「耳鳥斎の役者姿絵に関する一考察─『梨園書画』を中心に─」(『人文論究』第五十七巻 第四号 2008年)


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『近江の画人』p32掲載の青根あおね九江きゅうこう氏の作品が、2024年7月23日(火)まで彦根城博物館で「青根九江―京で花開いた彦根の文人画家―」でご覧いただけます。また館内のショップで『近江の画人』を販売しております。


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