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食本Vol.4『シネマ&フード』CUEL(料理)

☆「映画を食卓に連れて帰ろう」
サブタイトルがこの本の全てを表している、と思える名サブタイトル。
私自身、映画が大好き(雑食です。~ジャンル問わず、映画自体が好き)で食べることも好き、という者にとっては「待ってました!」という本です。

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表紙からもうわくわくします

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ロスト・イン・トランスレーション(2003年)。フランシス・コッポラの娘ソフィア・コッポラの2作目。「ヴァージンスーサイズ」で衝撃の監督デビューをした彼女の次の作品として大注目されてましたね。

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ロスト・イン・トランスレーションのフードは「和菓子のようなラズベリークレープ」。CUELの料理はどれも予測不可能で惚れ惚れするプレゼンテーションです。

☆タダ者ではない”料理本”。
今までも映画の中に登場する料理を再現した本はいくつかありました。
でも本書は”その先”をいっています。
本書をめくればそれは一目でわかります。単なる”料理本”ではない。
映画自体に対する深い造詣と洞察。
その映画から抽出される登場人物の喜怒哀楽やテーマの本質、時代背景、など映画愛に満ち溢れ、その愛のカタチを料理に表現した。
と、いうことが伝わってきます。
ですから一つ一つの料理ページには「homage to ”映画名”」と記されています。
imageでもimitateでもなく、homage。

例えば、『ロスト・イン・トランスレーション』
私もリアルタイムで映画館に観に行ってました。

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シネマ・ライズに観に行ったときのパンフレットがウチの本棚にありました。我ながら物持ちイイ~(映画関係のものだけかも)

ロスト・イン・トランスレーションは東京に仕事で滞在する中年俳優(ビル・マーレー)と一緒に仕事をするカメラマンの妻(スカーレット・ヨハンソン)が”トーキョーの中のガイジン”が感じる”違和感”や”疎外感”をふとしたきっかけで共有していく、というストーリー。
特に大事件が起こるわけでも、スキャンダラスな展開が待っているわけでもない。
異国に期間限定で訪れた”ガイジン”の心の機微を静かに繊細に描いた短編小説のような映画です。
ですから映画の中で華やかな料理が登場することも、美味しそうに食べるシーンも全く出てきません。
本書でロスト・イン・トランスレーションの料理として登場するのは『和菓子のようなラズベリークレープ』。

この料理に付いているメッセージはこちら。
~スイーツの世界は驚くほど進化している。世界のいろいろなテイストがミックスされ、どんどん新しくなっている。嬉しくもあり、また寂しくも感じる。取り残されたような心細さや、なんとなくフィットしない違和感など、もはや能力のアクセントになっている。けど人間はスイーツではない。ミックスされ過ぎるとゴネるし、熱だって出してしまうのだ。ほどほどに注意してほしい。

ロスト・イン・トランスレーションの”ガイジン”二人がトーキョーでかみしめた違和感や疎外感を、日々CUELのご自身たちが感じる違和感や疎外感とリンクさせているんですね。それが和菓子のようなラズベリークレープという形になって表現されている。。。
料理というものがただつくる、食べる、だけではない”表現する”手段としても様々な可能性があるものなのだと感じます。

☆今回は目次ではなくて”はじめに”。
本書に収められている映画はシネマライズで上映された映画43本。
私もミニシアターが好きです。
理由は色々あるんですけれど、一つだけ書くと「人間って色々あるよね」と思える作品が多いからってことですかね。

で。
本書冒頭のCUEL代表ハギワラトシコさんの言葉です。
※後半だけですけど※
…(略)…何よりもシネマライズで上映された映画は見た後で、ラクになる映画だと思うのです。足りないものがあるばかり。何かが足りない恋愛、何かが足りない親子、あり過ぎてコントロールが足りない恋愛や親子。足りないものを肯定すると私たちは窮屈じゃなくなるような気がします。勝手に言わせてもらえば、それは料理にも似ています。いっしょに食べる人、まだ作ってあげる人に喜んでもらえるといいのですが、勘違いもいっぱいあります。求められていないような人物像にあなたが合わせてなりすまして料理しても……なこともあるでしょう。おいしいものを作ろうとしないでくださいね。おもしろい味にできあがって笑っちゃうくらいがいいでしょう。
そして、なぁんだ、私だってイメージ料理ならもっといいのできるわよ、と言ってください!byハギワラトシコ…

☆今回、教わった「食」とは「食べる」とは
今回の”旅”で教わった「食」「食べる」とは、イメージを解放すれば「食べる」ことは”ドラマ”に変わる、という事でした。

☆今回の食本
『シネマ&フード~映画を食卓に連れて帰ろう』CUEL(料理)小泉佳春(写真)株式会社KADOKAWA

☆本日のおまけ~妄想フライドグリーントマト
映画『フライドグリーントマト』を観た後にフライドグリーントマトが無性に食べたくなったのですが青トマトって普通は流通しないので、想像の中だけで終わっちゃうのかな、と思っていました。でも、ある日、ご縁をいただいたトマト生産者から摘果された青トマトをもらうことができて、妄想レベルではありますが、フライドグリーントマトを作ることができました。
揚げたてのフライドグリーントマト、これはアメリカ人じゃなくても美味しい!と思う!

フライドグリーントマト


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