食本Vol.1『食の歴史』ジャック・アタリ
☆食とか食べるとか。
はじめまして。
note初投稿者のChiho-sunです。
10代の頃からなんとなくですけれど「食べるってどういうことなんだろう」という事が常に頭の隅っこにありました。
だからと言って研究者になるとか専門家になるとか、そんなことは考えたことは無かったのですが、実際の人生は「食」に関わるお仕事にずっと関わらせてもらってます。
でも。
「食」とひと言で言ってもあまりに広いし深い。
連日様々なメディアで取り上げられている「食」は食を語る上ではほんの一部でしょう。
〇〇グルメ、とかご当地〇〇とか、お取り寄せ〇〇とか、美食なんとか、とか。まあここで言うまでもないですが、どこを見ても溢れていて「またか」って感じですかね。
だから、今さら食をテーマに書く、ってなんの新鮮味もないことはわかっているのだけれど、それでも10代の頃からの「食べることってなに?」の答えに出会う旅をしたくなりまして。
きっと答えは一つじゃない。
だからこそ手に取って、読んでみて、時には作ってみて。。。
様々な分野の著者たちが考えた「食とは?」「食べるとは?」に本の旅をしながら触れてみたいと思います。
☆vol.1『食の歴史』人類はこれまで何を食べてきたのか(ジャック・アタリ)
いきなり。しょっぱなから。
といった感のするチョイスとなりました。
著者のジャック・アタリ氏のイメージは政治とか経済学者だったのですが、いやいややはり現代の知の巨人、食についても巨人でした。
ある程度覚悟はしていたものの人間がまだヒト(ホモ・サピエンス)以前類人猿の食生活からスタート。
これは目次を見た途端、「これは長旅になりそうだ~」と思わず苦笑いしてしまいました。
カバーです。ジャック・アタリさんてヨーロッパの童話なんかに出てくるふくろうみたい。
カバーを取るとまた素敵な深紅の本体。
☆目次のご紹介
第1章 さまよい歩きながら暮らす
第2章 自然を食らうために自然を手なづける
第3章 ヨーロッパの食文化の誕生と栄光(1世紀から17世紀ごろまで)
第4章 フランスの食の栄光と飢饉(17世紀中ごろから18世紀まで)
第5章 超高級ホテルの美食術と加工食品(19世紀)
第6章 食産業を支える栄養学(20世紀)
第7章 富裕層、貧困層、世界の飢餓(現在)
第8章 昆虫、ロボット、人間(30年後の世界)
第9章 監視された沈黙のなかでの個食
第10章食べることは重要なのか
☆つまり、食は歴史の中核に位置する重要な人間活動なのである
この本の「はじめに」(長い(笑))後半に書かれているこの本の「答え」とも言うべき一文です。この一文がヒトが猿人時代含む生きてきた700万年ほどの時間の中で「食」とか「食べる」ことがあらゆる「人間活動」において中核であるということを、アタリ氏は冷静かつ冷徹しかし情熱を持って文章で書きあげています。
私が本書の中でショックを受けた数ある文章の中でもひと際ショックだった一文はこれ。
「現在では太古の時代で暮らしたノマドの食習慣へと逆戻りした。独りで立ったまま、時間と場所に関係なく、もち運びしやすい食物を食べるようになったのである。」「食事をする機会が失われると、会話はしなくなり、静けさが場を支配する。これは社会に重大な影響を及ぼす。」
私たちが今まさに置かれている状況。。。💦
しかも太古に逆戻りって。。。💦
アタリ氏が本書の終盤で書いています。
人間活動において食べることはその行為そのものだけでなく、「会話」「交流」「集い」が重要であるにもかかわらず、「個食」が助長されている現代においては孤独で自己愛に満ち、他者と争ったり、逆に引きこもる人間がさらに増えていくであろう。
例えば、SNS上に映し出される自己のイメージに酔いしれ、そこで自己の嗜好や不満、欲望を他者と分かち合う、という行為は独りで食事をしながら行われる行為であり、個食であり孤食であると。
☆ジャック・アタリ氏から教えてもらったこと
今回の”旅”でアタリ氏から教えてもらった「食べること」とは、
あらゆる人間活動の中核であり、そこにはあらゆる人間の生きるために必要な要素が集約されており、それは「個食」では進化も成長も発展もない。
ということでした。
あ~長旅だったなぁ~
拙筆ながら、がんばって書きました(笑)
もし、ご興味お持ちになりましたら本書をご覧くださいね。
☆今回の食本
『食の歴史~人類はこれまで何を食べてきたのか』ジャック・アタリ著
プレジデント社