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【詩】消えるのなら

息もできないまま置いていかないで

声は
袖を靡かせる風にさえかき消され

力を失った
錆びついた腕に落ちる雫
もう二度と来ることのない春を知らせた

この街中の
窓を開け放って
月明かりの下
駆け抜けることができたなら
私は
目を瞑ってもいいと
思えるのか

褪せた冬は眠りの中
記憶は全て夢
夏の渇きと痛みに生きている

夜との境界も
わからないまま
忘れてしまう
輪郭を
声を

消えていく


玄関先
落ちた花を浮かべて

棘に触れたときの痛みを
優しさを