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【詩】まぼろしの僕ら

ここにいる僕ら
お酒の味を
まだ知らない

この世に生まれた一瞬
パッと弾ける雨粒

街角ですれ違っても
気づけないほど変わってしまった


それでも
息を吸って
吐く

電車の窓から見えた塔が
白い霧の中に消えた

吸って
吐く

呼吸の度に
世界が揺れる

誰もいない街を歩く
もうこれ以上
失う物さえないと言って

道路の真ん中から見上げた
曇り空の美しさ

雨に打たれても
笑い合って生きていた

僕らはまぼろし

この街の外を知らない