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【詩】空気

知らない町の
知らない道路を走る
バスの窓から
景色を見たときのことを
忘れないように

砕けてしまった
パレットの中の空色を溶かしていた

いろんな感情に名前をつけた
それでも足りないくらい
この世界は鮮やかだった

静かに目を閉じて
誰もいない
何もない
ただ息を吸って吐く

嫌いなものも全て描いた
好きなものも全て抱えた

ふと香りを思い出せば
嫌気がさすくらい
長い時間は一瞬で過ぎ去った

もう二度と現れない
また景色は流れてる