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【詩】不器用なひと

オーブンの中のグラタンをずっと待っている

一時間に一本の電車を逃した後みたい
退屈すら贅沢な味がする

レジ前は今日もぎこちない
小銭の区別がつかなくて
手からこぼれ落ちる

なんだか険悪な休日の人混みの
泣き声とため息も愛らしく思えるほど
今日の空は澄んでいる

頭の中に住んでる私とみんな
仲良く喧嘩していたい
思い通りにいかない
いつもきれいな青に気づかない

ずっと捻くれてるし
言いたいことを言うのが大変
料理をするたびに傷も増える

それでも
それはそれで別にいいかな

ずっと嫌いだったけど
待っているのが好きになった