夏の風ふく巴里

日本から友人が遊びに来てくれたので、パリへ出掛けてきた。
今年はイタリア、クロアチアにも滞在したけれど、熱を帯びる南とは違い軽やかな風に吹かれて太陽が優しい西ヨーロッパはやはり真夏でも過ごしやすい。朝晩は少し冷え込むけれど、昼間の、太陽の下へ出ても、風は涼しく心地いい。長い冬を超えてバカンスモードの華の街はみんな笑顔で公園は日向ぼっことピクニックで笑顔が溢れるパリジャンがたくさん見える。この時期のパリが一番好きだ。

予定していたよりも滞在が少し短くなってしまったので、たくさんお気に入りのあるこの街を存分に見せたいと思ってスケジュールを詰め込み過ぎたのが反省だけど、観光大名所から少し離れた地元の人も集まるエリアまで、たくさんパリの良いところを見せられたと思う。この街に住んだことはないけれど、ヨーロッパに住んでから何度も訪れた街なのでそれなりに土地勘もついてきた。やっぱり、数年経った今でも、この街には観光じゃなく少し長い間住みたいな、と思う。

彼らの初めてのパリ滞在ということで、美術館も旅程に組んだけれど、広く壮大なルーブルを案内し切る自信は微塵もないので、人よりは少し多く目にした印象派の多いオルセーと、少し空き時間に入れられたポンピドゥーセンターを案内してきた。大切な人が、何か自分の何度も見た風景や心を寄せるものを、初めて見たときの反応とか、どう感じたかとか、それを目の前で見られること、聞けることは本当に貴重で、愛おしい瞬間だと思う。

何度か目にした作品でも、見るたびに印象が変わる作品も存在する。友人が気に入ってくれたルノワールは、いつもよりも優しく、語りかけているように見えたし、ゴッホと一緒に住んでいたゴーギャンのタヒチの絵はより力強く、なにものにも属さない独立性と壮大さを感じられた。私の心寄せるマティスは、日本に何点も送っている関係で数点しか展示されていなかったのだけど、その中で彼の良さを伝えられなかったのが少し悔しい。自分の中で整理、思考を深めることと、他人に客観的事実と自分の感想を交えて解説をする行為はとても難しいことだと強く学んだ。

友人と旅行をするときは、いつも旅の終わりに、その旅の良かった瞬間を3つ選んで伝え合いをしてるのだけど、その時間が取れなかったのが少し心残り。私が選ぶなら、オルセーで、友人が私の説明を聞きながら、絵を見ている瞬間、それに反応してくれている時間は、何か新しくて美しい時間だったと思う。毎回、建物や絵に感銘を受けることも少なくないけれど、私はどうしても人との交わりや、その土地の人々の生活が垣間見える瞬間が心に残されることが多い。完全に個人の好みなのだけど。


今夜は寝れなくてnoteを開いてしまったけど、少しずつ眠気が近づいてきたので、そろそろベットに潜ることにします。おやすみなさい。

読んでくださって、ありがとうございます。 いただいたサポートで、朝にお気に入りのカフェでコーヒーをいただいて、少し本を読んで、それから新しいnoteを書こうと思います。