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【サロン記事紹介】”片付け”を競争化することのデメリットについて考える。

作業療法士の春斗です。

普段は2ヶ所の療育施設で児発、放デイの個別療育を行なっています。

それ以外にもYouTube、オンラインサロンを行なっているので覗いてみて下さい👍

〈本題〉


園や小集団療育の場で、片付けをしない子に対して

「〇〇くんと〇〇くんどっちが早く片付けられるかな〜、よーい、どん!」


という声かけ聞いたことありませんか?

家庭でもよく使いがちだと思います。

この声かけは悪い!!

というわけではありませんが、支援者の場合はプロとして子どもと関わることになるので、一つ一つの声かけや関わりに目的を持つ必要があります。

僕は普段片付けを競争化することはないんですけど、今回はその理由についてお話ししていきたいと思います。


①意図した所と違うポイントで成功体験を積んでしまう可能性があるから

脳には「報酬系」と呼ばれるシステムがあるのをご存じですか?

報酬系とは褒められたときや何か達成した時に感じる「心地よさ」のことで、この心地よさが「やってみよう!」という原動力に繋がります。

これを片付けに置き換えた場合、「片付けて褒められた達成感」と「相手より早く片付けて勝った達成感」では、間違いなく後者の方が報酬(達成感)が高いです。

そうなってしまうと、「よく片付けられたね😊」と褒めても、それ以上の報酬(勝ち)が手に入っているので「片付けを頑張ったから褒められた」という経験が残りにくくなります。

そうなってしまっては本末転倒です。

今日だけではなく、その次も自分から片付けに取り組んでもらうために、どのポイントで達成感を味わってもらいたいのかタイミングを考えることが大切です。


②勝ちに対する執着が強くなり、負けに対して拒否反応を持つ可能性があるから

先ほどの話とも繋がってきますが、「勝ったら褒めてくれる」という認識が強まってしまうと、「負けたら褒められない」「負けるのは良くないこと」と思ってしまう可能性があります。

よく保護者からの困り事で「勝ちにこだわる」「負けると泣く」「負けそうになるとルールを変える」などの相談を受けますが、なぜそのような行動に至ったのか整理する必要があります。

小集団の中でも、せっかく活動の中で「勝敗のある活動」を取り入れて気持ちの調整を行っているのに、その終わりに片付けを競争化するだけでなく、「片付けは負けたチーム!!」なんてしたら、もはや何を目的にしているか意味が分かりません。

子どもが起こしてる行動の要因を、環境から考えていくと見えてくることがあります。

人も含めて環境です。


③結果で物事を判断し、嘘をつくようになる可能性があるから


結果のみに焦点が当たってしまうと、

「上手くいかなかったら褒めてもらえないから少しズルしよう」

「どうせ負けるぐらいだったらやらない方がマシ」

という思考になってしまう可能性があります。

皆さんだって

「ボブサップと闘って下さい」

と言われたら

「いや絶対勝てないよ」

となりますよね。

(ボブサップ知らないはナシでお願いします)

僕は絶対に闘いたくないので、

「お腹が痛い」

「実は右足が折れてる」

とか適当な事を言って逃げると思います。つまり嘘をつきます。

このように、「嘘をつく」という行為は環境によって誘発されていることもあります。どうしても実現不可能な場に立ったら誰だって嘘をつきたくなるんです。

そして一度通用した嘘が次々に大きくなってしまい収拾がつかなくなる、というのは大人でもよくあることですよね。

そうならないためにも、日頃から結果ではなく過程を褒める(認める)関わりが必要です。

「40分椅子に座って授業を聞いていたから褒める」のではなく、「今いい姿勢で話が聞けてるね」「頑張ってノートを書いてるね」など、本人が課題に取り組めている時にできている事を伝えていきます。

そこで本人が「いい姿勢でいること」を意識していなかったとしても、「なんか分からないけど褒めてもらえたから頑張ってみよーっと」「こんな所まで見てくれてるんだ!」というふうにモチベーションに繋げることができます。


ここまで片付けを競争化することのデメリットを書いて来ましたが、どんな声かけや活動にも必ずメリットとデメリットがあります。

競争化することが必ずしも悪いわけではありません。

必要な時もあると思います。

大事なのは、一つ一つの声かけのメリットデメリットを支援者が理解し、今の子どもの目的に対してはどんな関わりがいいのか、今後の目的に対してはどんな関わりがいいのかを整理することです。

普段皆さんと関わっている支援者が、どのような意図で声かけを行い、どんな目的で活動を提供しているのかぜひ聞いてみて下さい。その話を聞くことで、新しい発見や日常の関わりのヒントになるかもしれません。


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