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今日も機嫌が悪い

日本に住んでいる母親に朝9時頃電話をかけた。出た瞬間にちょっと様子がおかしい。小声で話しかけてくる。顔は笑っているけれどボソボソと聞かれないように話してくる。瞬時に、近くに父親がいるだろうことに気がづいた。

「今日も機嫌が悪いのよ〜。仕事で考えことしてるのか、なんなのか、全く話さない。一緒よ〜そっちと」

笑ってしまった。

母親には夫についてのちょっとした戯言とか日々吐き出したいこととか、ことあるごとに連絡している。母も”経営者妻”であるが故に、私の唯一の相談相手、理解者だったりする。

どうしてもサラリーマン家族の友人たちには理解してもらえないことが多く(私は絶対にやだとか、そんなの耐えられない、と言われたり)そうなると自然と母親に全てを打ち明けていくことになる。

私にとってはありがたい。いろんな状況での振る舞いや考え方は母から学ぶことが多い。同じような「苦しみ」だって分かち合えるしこんな「機嫌が悪い」ってことだけで共感できる。

夫は考えこむと全く話さなくなるのでわかりやすい。頭の中でぐるぐると考えて私の話なんて入ってこない。そんな時は隣でご飯を食べていても無言の時間が流れていく。私もだんだんと扱いがわかってきて、「ねぇ聞いてよ」なんて言わないし、話しかけるなんてことはしない。

「なんで話聞いてくれないの?」とか「ちゃんと聞いてよ!」といえば済む話と思うかもしれない。「仕事を家に持ち込まないで!」という女性も多い。

けれど私たち経営者の妻たち、正確にいうと私たち母娘のスタンスとしては夫のパフォーマンスを上げてあげることが全て。彼らの邪魔をしないようにサポートするというのが責務だ。

気にしすぎじゃない?と言われるかもしれない。もちろんそういう考え方もある。けれど夫の限りのある時間の奪いたくないし仕事に集中してほしい。彼のさらなる成功を祈っているからこそである。

結局、冒頭の母親との電話はすぐにブチッと切られた。そもそもそんな小声で話さなければいけない状態なら電話に出なくてもいいのに、と思うのだが。母も誰かに愚痴を打ち明けたいのだろう。それもわかる。

母親と同じ様な境遇にいることに何か不思議な縁を感じつつ、クスッと笑いながら電話を切った。おそらく次回の愚痴の番は私になるだろう。性格なんて変わらないのだからこの日々の繰り返しだ。



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