生きるために闘うこと、私たちの革命

星組1789の予習として、東宝2018年版「1789~バスティーユの恋人たち~」のDVDを観賞しました。
大好きな神田沙也加ちゃんが出演していた作品なので再販しているのを見つけてすかさず購入してしまいました。
久しぶりに沙也加ちゃんの歌声が聞けてとても幸せです。
2016年版、2018年版ともに帝国劇場で観劇したのですが、記憶が朧気な箇所も多く今回新たに思うところもあったので感想を書いておきたいと思います。

舞台は1788~1789年のフランス。
革命の気運が高まる中、父の仇を討つためパリにやってきた青年ロナンは革命家ロベスピエール、デムーラン、ダントンと出会い、自由・平等の思想を知って革命へと身を投じていきます。
そんな中出会った、王家に仕えるオランプとの恋模様、フランス革命の行く末がこの物語の主題です。

フランス革命はミュージカルの主題としてよく用いられますが、1789は民衆、貴族、王族、どの立場の人も過度に持ち上げたり、悪く描いていないところが良いなと思っています。
特に、私は1789の解釈で描かれるマリー・アントワネットが大好きです。
ギャンブルに興じながらも「体の弱い王太子が気がかり」と歌ったり、自身も税金を使い込んでいるのに王の作ったギロチンには眉をひそめたり。
かと思えば、王太子の死を境に恋人とは連絡を絶ち、押し寄せる民衆を前に今までの行いを悔いて王妃の役目を遂げる覚悟を決める。
そんな人間臭いマリー・アントワネットの心情に想いを馳せて、オランプを送り出すシーン、王と最後の会話をするシーンはつい泣いてしまいます。

革命を主題にした演目を見る度、ドラマチックな展開に心沸き立つ一方、どうしてこの人たちは闘わなければいけないのだろう、という気持ちにもなります。
平和な現代日本に生きるからこそでしょうが、闘わずとも生きてさえいればと思ってしまうのです。
1789においては、闘うこと、革命は「誰かの思い通りにはならない」ということなのだと感じました。
誘われるがまま革命に身を投じたロナンがオランプを通して王族の事情を知り、このまま革命を続けるべきか悩んだり、王妃に評価され忠義を尽くしていたオランプがロナンを通して民衆の想いを知り、このまま王家に仕えていていいのか悩んだり。
政治的な革命だけでなく、ロナンとオランプの恋、マリー・アントワネットの改心などそれぞれの登場人物の決断が闘いであり、小さな革命であったのだと思います。

劇中の「生きるために闘うことを諦めてしまえばいいのか」という歌詞を聞いて私はドキリとしました。
言われるままに従うのは楽だけれど、私の望む行き先はここだろうか。
小さな革命は私たちの日々の生活の中にもあります。
革命家たちの姿に背中を押され、現代を生きる私たちも自らの望むところに歩いていけますように。

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