
Photo by
pasteltime
Let's share the luggage
3学期の始業式が始まろうとしているのに,A君がまだ来ていません。
担任の先生に話すと,(当時,時間講師として勤務していました)
「たぶん,遅れて来ると思いますから,昇降口で待っていて,A君が来たら,体育館に連れて来てもらえますか」
と頼まれました。
昇降口へ向かう途中,赤いフリースを着たA 君と教頭先生の姿が見えました。何やら,二人で重そうな荷物を持っています。
鍵盤ハーモニカやお道具箱が入った大きなバッグでした。
持ち手の片方をA君が持ち,もう片方を教頭先生が持って,歩調を合わせながら,こちらへ向かっています。
私に気づいた教頭先生が,
「あっ,S先生が迎えにきてくれたよ。
はい,S先生にバトンタッチ」
と持ち手の片方を差し出しました。
私は,教頭先生がしたように,バックを真ん中にして,持ち手をA君と片方ずつ持ちました。
「自分の物は,自分で持ちなさい」
と突き放すでもなく,
「重いから,先生が持ってあげるね」
と甘やかすでもなく,
「二人で荷物を運ぶ」
これが良いんだなと思いました。
教育現場には,さまざまな子どもがいます。
正直,どう接したらよいか迷うこともあります。
そのときは,あの日の光景を思い出し,子ども達と手を取り合って,心を寄せ合って,進んでいこうと思っています。