見出し画像

スプラトゥーン2におけるサーモンランのオオモノシャケと成否に関する研究

概要

 このnoteは、スプラトゥーン2内の「サーモンラン」の38試合のデータを多変量解析(本研究ではランダムフォレストを用いた)を行い、どういった場合に「サーモンランが成功しやすいか?」を示したものである。

長ったらしく書いてるので、結論だけ見たい場合は「9、結論」へ飛んでください。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

1、研究背景

 Nintendoというゲーム会社が出している機体で「Nintendo Switch」という機体がある。これは、2017年3月3日に発売された機体で、2019年1月までにいくつものタイトルが発売されてきた[1]。

画像1

 その発売されてきたゲームの中でスプラトゥーン2というゲームがある。このゲームは、2017年7月21日に発売されたゲームで、ゲームプレイヤーは「ブキ」を持ち、「インク」を塗って、敵を倒すというゲームである。2018年3月4日に公式から発表されたデータによると、150万人程度がプレイしている [2]。この数字は、「Nintendo Switch」の普及台数は、約2000万台であることから、「Nintendo Switch」を所持している人のおよそ8%が遊んでいるゲームとなる[3]。

 このスプラトゥーン2というゲームの中に、「サーモンラン」というゲームプレイモードがある。これは、

【ゲームプレイヤーが「オオモノシャケ」と呼ばれる敵を倒して、制限時間内に一定数の「金イクラ」を集める。】

というモードである[4]。

画像2

 このサーモンランというモードでは、7種類の「オオモノシャケ」と5種類の「イベント」、そして3種類の「潮」という概念が存在する。また、このゲームにおいては4人プレイ専用のゲームであり、協力しながら「オオモノシャケを倒し、金イクラを集める」ゲームである。また、金イクラだけでなく、普通のイクラも存在しており、それはオオモノシャケ以外の敵を倒すと現れる。

 このサーモンランにおいては、前述の7種類の「オオモノシャケ」と5種類の「イベント」、そして3種類の「潮」が非常に重要な要素となっている。

 オオモノシャケは、倒すと「金イクラ」を放出してくれる敵キャラクターである。7種類の全ての倒し方が異なっており、制限時間内に効率よく倒して「金イクラ」を集める必要がある。

 イベントは、ゲームにおいてまれに起こるもので、通常のオオモノシャケの他に、特別なオオモノシャケが出てくることである。そのイベントは、通常よりも強力な敵が出てくるため、通常よりも協力することが必要となってくる。

  潮とは、そのゲームをプレイするゲームエリアを制限するものである。満潮、通常、干潮の3種類があり、それによってゲームプレイヤーが動くことのできるエリアが変わってくる。

 つまり、以上のような要素がいくつも絡み合ってくるため、ゲームをクリアするためには多くのことを考える必要がある。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

2、研究目的

 本研究では、スプラトゥーン2内にあるサーモンランというゲームにおいて、ゲームデータを解析することによって、どうすればゲームをクリアできるか(もしくはしやすいか)を明らかにすることである。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

3、研究動機

 対戦ゲームをプレイしていて、以下のように感じることはないだろうか。

「毎回この敵になるとやられちゃうな〜」
「なんかこのシチュエーション苦手かも・・・」

 明らかに強大な敵と対峙した時に、「負けそう」という感覚を覚える時は多い。しかし、それ以外でも“なんとなく”負ける時は存在する。その何かわからないけど「負けてしまう」という状況では、ゲームは上手くならない。なぜなら、負ける理由がはっきりしていないため、対策を講じることが出来ないためである。

 こういった「なんとなく負けてしまう」状況を減らすことができる1つの手段として、データ解析は有用なのではないか?と考えた。例えば、敵の数と戦闘の結果を解析して、以下のようなことが言える可能性がある。

「この敵にやられやすいから優先的に処理しよう」
「このシチュエーションになったら迷わず逃げよう」

 こういった、今後のゲームプレイの成否に影響を及ぼせるように、「どうすればゲームをクリアできるか(もしくはしやすいか)を明らかにすること」を研究目的とした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

4、調査

 以下に、先述した7種類の「オオモノシャケ」と5種類の「イベント」、そして3種類の「潮」についてまとめる。

画像3

オオモノシャケ 一覧 ([6]より転載) 

画像4

イベント 一覧 ([7]より転載) 

画像5

潮 一覧 ([8]より転載)

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

5、データ収集

 データの分類は、以下のように行う。

各プレイヤーのデス数/救助数/イクラの数/金イクラの数
各オオモノシャケの出現頻度
チーム全体の各オオモノシャケを倒した回数
潮の種類
失敗したか否か
(失敗した場合)その箇所

 データの収集では、WAVEの切り取りでのデータ収集ではなく、WAVE1~3における一連の流れを収集する。そのため、結果としてWAVE1で失敗した場合や、WAVE3で成功した場合など、様々な場合がある。

 また、本研究では、合計38回の試行を行い、データを収集した。総プレイ時間は5時間、データ入力で2時間を要した。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6、データ

 各データを打ち込んだものを載せる。

画像6

画像7

画像8

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

7、解析

 本研究では、「どうすればゲームをクリアできるか(もしくはしやすいか)を明らかにすること」を目的としているため、先述の「Fault_Reason」に1番関わる要因を探す。また、今回はランダムフォレストという手法を用いて解析する。

画像9

画像10

画像11

その解析結果を影響度が大きい順に並べると以下のようになる。

画像12

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

8、考察

 第7章の解析結果を考察する。

 重要度が1番高い「Fault_Sio」の値は、ゲーム失敗の時に必ず失敗したWAVEが存在するため、この値は無視する。

 次に重要度が高い「Kinjake_Born」は、第4章で述べたイベントの「ヒカリバエ」によるものだと考えられる。つまり、ヒカリバエの時に「キンジャケが大量発生する」ため、このイベントの時はゲーム失敗の可能性が高いと考えられる。理由として考えられるのは、「大量に押し寄せるため、休む間もないということ」と、「スペシャルを使ってしまいやすい」ということが挙げられる。スペシャルとは、一撃必殺の大技のことであり、このゲームの1回につき2回しか使用することができない。そのため、スペシャルを使うタイミングが重要となってくる。「キンジャケが大量発生する」時、スペシャルを使ってしまい、後のWAVEに温存することができないため、ゲーム失敗してしまうということが考えられる。

 次に重要度が高い「Bakudan_Kill」は、「バクダンをキルする数」が多いほどゲームに失敗しやすいということを指していると考えられる。理由としては、他のオオモノシャケに対応する時間を割いて「バクダン」を処理してしまっているため、ゲームが失敗しやすいと考えられる。よって、「バクダン」は後回しにしても良いと考えられる。また、他に重要度が高い「Koumori_Born」では、「コウモリ」が出現するたびに、ゲーム失敗の可能性を高めていると考えられる。よって、「コウモリ」は優先的に倒す必要があると考えられる。

 次に重要度が高い「my_Rescue」は、「自分が他のプレイヤーを助ける」ことがゲームの成功につながると考えられる。このゲームにおいて、一度倒されたプレイヤーを助ける行為が存在する。助けることによって、チーム全体の金イクラ集めをしやすくさせている。つまり、この助けるという行為によって、金イクラの集める数が増え、結果としてゲーム成功につながると考えられる。

 また、他に重要度か高い要素として「3_Roe」と「2_Roe」という要素がある。これは、オオモノシャケではなく、普通のシャケを倒した時に出てくる普通のイクラを集めた数である。この値の重要度が高いということは、「普通のシャケを積極的に倒すプレイヤーは最低でも1人は必要」ということを指していると考えられる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

9、結論

 以上より、Nintendo Switch専用ソフト「スプラトゥーン2」内の「サーモンラン」というゲームにおいて、以下のことが言えると考える。

・ 「ヒカリバエ」の時は、ゲームに失敗しやすい。
→計画的なスペシャルの利用が大事になってくる。
・ 「バクダン」は後回し「コウモリ」を優先的に倒す必要がある。
→オオモノシャケの優先順位をしっかり見極める。
・ 自分は、他プレイヤーを積極的に助ける必要がある
→チーム全体の金イクラ集めの効率をあげることにつながる。
・ 最低1人は、普通のシャケを積極的に倒すプレイヤーが必要である。
→オオモノシャケを効率よく倒すために、他プレイヤーをカバーする。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

参考文献

[1] ニンテンドー公式ホームページ

 https://www.nintendo.co.jp/hardware/switch/lineup/index.html

 (2019/2/3 閲覧)

[2] 任天堂株式会社 第78期(2018年3月期)決算説明会資料

 https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2018/180427_2.pdf

 (2019/2/3 閲覧)

[3] 任天堂株式会社 第79期(2019年3月期)決算説明会資料

 https://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2019/190201_2.pdf

 (2019/2/3 閲覧)

[4]サーモンラン 公式HP

 https://www.nintendo.co.jp/switch/aab6a/coop/index.html

 (2019/2/3 閲覧)

[5]Switch速報!

 https://switchsoku.com/soft/splatoon2/8975

 (2019/2/3 閲覧)

[6] 【スプラトゥーン2】7種類のオオモノシャケを一挙ご紹介!

 https://www.youtube.com/watch?v=3lk6UV1Wolo

 (2019/2/3 閲覧)

[7]スプラトゥーン2 攻略大百科

 https://splatoon2.gamepedia.jp/archives/category/サーモンラン

 (2019/2/3 閲覧)

[8]日めくりインドア女子

 https://www.indoor-joshi.com/entry/salmonrun

 (2019/2/3 閲覧)


札幌出身、福岡育ち、東京住みのSunnyと申します。 働きながらボードゲームデザインをしています。いただいたご支援は、ボードゲームデザインに使わせていただきます。