ボードゲーム考察:同人ボードゲーム業界はコロナによって販売機会を損失したのか?
こんにちは。Sunnyです。
5か月ぶりですね。
すいません。所属しているデバッグモンキーズの方で更新していたら、こちらがおざなりになってしまいました。
というわけで、久しぶりにこちらを更新
テーマは、「同人ボードゲーム業界はコロナによって販売機会を損失したのか?」
そう思ったきっかけ
2020年の1月、もしくはその少し前あたりから世界はコロナの影響でてんやわんやなわけです。
そんな中、ボードゲーム業界としては大きい決断がありました。
そう、ゲームマーケット2020大阪と春の開催自粛。
ボードゲーム業界において、1番影響があるイベントが自粛になり、様々な人が様々なこと思い発信したりしてました。
そこで、気になったのがですね、
「コロナで発売機会を失った作品たちに救済を!イベントや販売会を!」
という声でした。
いや、僕もそう思うし、確かにとは思うんですよ。
ただ、本当にそうか?という懐疑心が湧きました。(※こういった声に対して批判というよりは、少し距離を置いて考えてみただけです。)
去年、同じようなことを実はnoteでも書いているんですが
上のnoteを要約すると
ゲムマというイベントで買いたいけど、予約で完売してるとこもあるし、ゲムマで販売する意味ってある・・・?
というものです。(今思えば、このnoteもう少し考察できるな、、、)
「ゲムマ以外にも販路は持つべきではないか?」という気持ちで書いてました。
っていう僕が思ってたことがあり、上のゲムマ自粛にともなう「もっとイベントを!販売会を!」という声に少し距離を取ってしまうんです。
なので、今回は「コロナ影響で自粛されたイベントによって販売機会/利益は損失されたのか?理想的な売り方ってなんだ?」という記事になります。
どうやって考えるか?
僕が所属しているデバッグモンキーズでも、ゲムマ春2020に出展予定だったので、その準備をしていました。
結果、BOOTHという通信販売での販売をしているわけです。
そこで、シンプルに「イベントで販売する場合」と「BOOTHで販売する場合」のコストシミュレーションをはじき出して、イベントによって販売機会/利益がどうなるのかを考えます。
コストシミュレーションの概要
■商品A
箱の大きさ : W65×H93×D20(一般的なポーカーサイズのゲーム)
売値 : 2,000円
■商品B
箱の大きさ : W214×H300×D30(一般的なA4サイズのゲーム)
売値 : 3,000円
イベントでのコストシミュレーション
■イベント
ゲームマーケット出展料 : 15,400円(A2プラン振込手数料除くとして)
会場までの交通費 : 600円(往復300円圏内の都内として)
ブースの装飾代 : 2,200円(100均で最低限購入したとして)
以上参加費合計 → 18,000円
手元に入るお金は売値そのままとする
■商品Aをイベントで販売し、100個作る場合
■商品Bをイベントで販売し、100個作る場合
通販でのコストシミュレーション
■商品Aを通信販売し、100個作る場合
商品Aの送料 : 370円(安心BOOTHパック ネコポスサイズとして)
商品Aの梱包材 : 36.4円
※梱包材内訳
B5 封筒 : 24枚110円 →1個あたり4.5円
緩衝材 : 35cm*26cmサイズ 4枚110円 →1個あたり27.5円
テープ : 25m 219円 1回で0.5m使うとして →1個あたり4.4円
以上、商品Aを販売してBOOTHから入る金額 = 1,914円
梱包材を引いて手元に入るお金 = 1,878円
■商品Bを通信販売し、100個作る場合
商品Bの送料 : 1,080円
(安心BOOTHパック 80サイズで東京から東京へ発送として)
商品Bの梱包材 : 224.4円
※梱包材内訳
段ボール : 1個あたり110円
緩衝材 : 120cm*120cmサイズ →1個あたり110円
テープ : 25m 219円 1回で0.5m使うとして →1個あたり4.4円
以上、商品Aを販売してBOOTHから入る金額 = 2,853円
梱包材を引いて手元に入るお金 = 2,628円
比較
エクセルでまとめます。
これ、結構おもしろい結果になったのかなぁと思います。
考察
僕がこれを最初に見たときに思ったのが
「イベントに即している商品と、通販に即している商品があるんだ」
というのがシンプルに思いました。
このデータから見てわかるのは
①送料が高くなる=大きい商品は、イベントで販売した方がいい
②送料が安い =小さい商品は、通販での販売の方がいい
だと思うんすよね。
で、今回は100個という条件で試算しましたが、50個にするとまた印象が変わりまして
少量で送料がかからない商品を売る場合、イベントが非常にしんどい印象になります。
つまり、少量の場合は、通信販売の方が回収率が高い。
原価率が高くなればなるほど、そのリターンが非常に少ない。
しかも、これはあくまで全部売れた想定なので、かなり厳しいことがわかると思います。
これはなんでかというと、出展料の割合が大きくなるからですよね。
全部売り切った場合の利益に対して、出展料の割合が多いと、その分を払いきれない。
これをもっと活かせる形にするならば、ペンとサイコロさんが出している、1回で売れている個数の傾斜をかけてあげるとよりリアルになるのかもしれません。
実際の制作個数と、販売個数はサークルによって大きく差があるとは思いますし、商品によってかなり違うとは思うんで厳密な比較は難しいとは思いますが。
まとめ
回数という意味では、イベントが中止になることで販売機会は損失してはいる。
しかし、販売利益で考えるなら、必ずしもイベントに出ることが良い選択肢かどうかは考える余地あり。
また、「通信販売よりイベントの方が売れる」可能性もあるが、その逆もしかりで、マーケティングによって「通信販売でも」売れているサークルは売れている。(一般にイベントの方が売れやすいという意見に対し)
上の考察結果をもとに考えると
なのかなと。
もちろん、原価率や出展料などの影響もあるので、イベントが有利になる場合もあると思います。
(例えばメンバーが多くいて、出展料の割り勘ができる場合など)
今後考えるべき項目は
・通信販売とイベントで、何個作ると結果が反対になるか
・実際に売れる個数での試算
・原価率の影響
このあたりでしょうか。
何かの参考になれば幸いです。
ボドゲづくりは趣味だけど、こういうことも考えてしっかり作っていきたい所存です。
札幌出身、福岡育ち、東京住みのSunnyと申します。 働きながらボードゲームデザインをしています。いただいたご支援は、ボードゲームデザインに使わせていただきます。