迷惑のおすそ分けを貴方は
あの人のいい迷惑になってくれ。
私からの精一杯の悪口を、好きだったあの人に。
いつか思い出されるあの人の中の恋愛史に、私は迷惑にも登場するのかもしれない。
だから、私だって。
いい迷惑をかけてあの人の歴史上の人物になれたなら。
それは彼にとって、私生活が全く読めないホストの様な先生が教えてくれた高校世界史の授業よりも、はるかに鬱陶しいだろう。
鬱陶しいならまだいい。でもきっと、いい迷惑にさえもなり得ない存在が私だったのかもしれない。という事実はここ最近の私がそう言っていた。
迷惑のおすそ分けをあの人が見向きもせずにそっとしているのなら、冷たくティッシュ配りを避けて通るハイヒールのお姉さんのように、私だって強がって我が道に音を鳴らす。「そこ、邪魔。」と言わんばかりに。
そんな冷淡な私には、なれそうにもないのにな。
いつか私だけの光で私の周りを照らして、そのまたいつか私の大切な光が、私を照らしてくれる日が来る頃。
風の噂か、雲の隙間か、月の囁きか知らんけど、いつかそんな風が吹いて、そんな雲を覗いて、そんな月を見たあの人が、私をいい迷惑にも思い出してくれたらな。
そしたら、こっちの勝ちやぞ。