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私だけのun美学
イヤホンをしていながら、実は音楽は聴いていないという大根女優を演じている時がある。
そんな時は大体、目の前のカップルや仕事人がどんな会話をしているのだろうかと想像を膨らませる。音楽を聴くよりも、音楽のネタになるような話を聴けないだろうかと期待を込めて音楽を止める。でも「別れ話をしていた」なんて面白い回はまだ一度もない。
とびっきり美味しいとは言えないものにも美味いと詠う。
その食卓が何となく暖色のライトに変わるような気がする。ミシュランに載ってるわけでもないご飯を食べる時は、いつも美味そうな顔で「うめぇ」とヤギっぽくほざく。そして、5星を与える。
プリンが嫌いだけど、プリンには好かれている。
火曜日に売れ残ったプリンはいつも火曜日シフトの主婦さんが持って帰る。でも社長や主婦さんはやたらと私にプリンをくれる。だから私はプリンが好きだとプリン顔で嬉しがる。親友と旅行中にレンタカーで単独物損事故を起こしてしまったことがある。赴くはずだったカフェは事故処理中に閉店した。だけど華奢で丁寧所作のオーナーさんはレッカー車待ちの私たちを閉店した後のカフェに入れてくれた。こじんまりカフェと華奢オーナーからは想像できないサイズのプリンを出してくれた。プリンはずっと嫌いだし、これから好きになる予定もないけど、そのプリンだけは有り得ないほど惚れぼれしいツートンだった。
朝起きたら、携帯を投げてトイレに向かう。
朝は苦手、なんてもんじゃない。朝はきっと私のことを嫌っている。遠足という行事はとうの昔に終了したので、良い朝に迎えに来てもらうことはほぼほぼ無くなった。朝嫌いのわけは、単純に朝の私に頭が追いついてないから。か弱くもないクセに低血圧にふらふらしながら、リビングの横を通り過ぎる。そんな私を誰か盗撮してくれないかな。きっと、野口さんよりも線が多い。だから、私は働いてない頭で携帯をリビングのソファに投げてしまうのだ。
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まてまて、これが私のun美学?美学とも言えない、ただただVaundyも知らない私の秘密な気がする。