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ワイルドライフガーデン風

肌寒くも爽やかな初夏がやってきた6月初旬、NTS (National Trust for Scotland)が管理するDrum Castle, Garden &  Estateにて。

メインのウォールドガーデン入口の前に広がる空間。ポツンポツンとまばらに立つ木々を見るところ、arboretumの(樹木園)ような広場なのだと思います。

背の高い木々が作る木陰の下は、Cow ParseleyやButtercup、その他いわゆる野草たちが人の腰の高さほどに育ち揺れ動くなか、淡いパープル色のLupine(ルピナス)が、実にさりげなく組み込まれていました。

Lupineを加えることで、完全放置ではなく、どことなく管理されて小綺麗にされた空間というイメージが湧きます。Lupineはコンディションが許せば1シーズンに2回花を咲かせるので、より長く野草とのコントラストが楽しめるメリットもありそうです。

こういった、野草の刈り取りを減らしたり、冬も枯れたものを片づけずにそのまま置いておくことで、本来の自然の姿を楽しみながら虫や小動物たちの食べ物や隠れ家を提供する、という意図を持つワイルドライフガーデン。

園芸植物を一つ植え込むだけで、「野草広場」から「ワイルドライフガーデン」に格上げされるものですね。

余談ですが、ワイルドガーデンは、人気が近年ジワジワと広まっていたところへ、コロナ禍のロックダウンを経て、一気にフォーマルガーデンにも浸透したように感じます。(少なくともスコットランド北東地方周辺では☺︎)

その理由は「年単位で放置した野草・雑草が、管理できないほど猛威を振るってしまった」というのが、大半のケースの裏事情ではないかと想像します。周りを見渡しても、同様の理由がコロナ禍後の理念転換(もしくは”更新”)のきっかけになっているガーデンは少なくありません。

ワイルドライフガーデンのコンセプトに対する認識は、世代間で非常に隔たりがあるようです。ボランティア間やガーデナー同士、ガーデンへ多額の寄付を寄贈する裕福層間、さらにはテレビのパーソナリティーたちの間でも、しばしば微妙な対立構図が見え隠れし、概して年齢層が高いほど受け入れ難い思いが強いように伺えます。

チリひとつない、自然を人工的に完璧にコントロールした伝統的なフォーマルガーデンを「ガーデン」と認識してきた方達にとっては、「雑草」を放ったらかすのは単なる怠慢であり、見た目も美しくない。

長年慣れ親しんだ思想に新しい観念が入り込むのは、いつの時代も簡単ではないなあ思います。

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