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#韓国スタートアップ研究会 ②HYBE

●まとめ

・HYBEも実はスタートアップだった
・CEOの創業までのストーリー
・Ent業界で実績もなかった当時のHYBEが投資できた背景

*本文中の関連記事は全部韓国語でごめんなさい…

●はじめに

最近、Newjeans東京ドーム公演の「青い珊瑚礁」の大ヒットで最近の僕のYoutubeShortsにもずーーっと出ています。確かにこれは的にも舞台演出的にも、そしてマーケット戦略においてにも「さすがだわ」という反応です(NewJeansは日本ではテレビ活動よりはSNSをメインに認知度を上げているので、10代~20代以外では認知度が低いですね。このレジェンドな歌を演出することによりNewJeansをよく知らない層に対してもアピールできるきっかけをつくったのかなと)。

https://www.youtube.com/watch?v=Rj7N4ThLGQY

日本でもBTS・NewJeansを中心にどんどん影響力を上げているHYBEですが、実はこのHYBEも「スタートアップ」として誕生、IPOに成功し今はもう「スタートアップ投資家」として活動しているという、素敵な「スタートアップ成功事例」ということはご存じでしょうか。
今日はHYBEの誕生から今日までの歩みについて少し触れてみます!

●HYBEの創業者であるバン・シヒョック氏は、Co-Founderとして一つの企業を成功させた経験を持つ起業家

HYBEの創業者兼代表のバン・シヒョック氏は元々フリーの作曲家でした。作曲家としても複数のヒット曲を出していた中、彼の才能を高く評価したパク・ジンヨン氏に誘われ、共同でアイドル事務所JYP(日本ではTWICEなどで有名ですね)を設立したのが経営者としてのスタートでした。日本ではTWICEの所属事務所として知られているJYPを、早くから韓国3大事務所としての地位を作るのにバン氏は大きく貢献しました。

JYPの成功・発展の中でパク氏の右腕として(そして、JYPの2大株主として)アイドルや音楽プロデュース、経営哲学、すべてを教わったバン氏は2005年、今のHYBEの前身であるBIGHIT ENT(途中でHYBEに社名を変更しまので、本文ではHYBEに統一します)を作ります。ちなみに、バン氏が独立した後でも、バン氏はJYPのプロデューサーとして活動するなどパク氏やJYPとは良好な関係を維持します。

JYPの時は有能なプロデューサーでヒット製造機(ちなみに、当初の社名のBIGHITはバン氏のあだ名だったHIT MAN BANGから持ってきた様です笑)として大活躍を見せましたが、やはりスタートアップとして成功は簡単ではなく、最初の数年間は苦難の時間を過ごします。この間は自分のプロダクト(アイドルをプロダクトとして表現してすみません、スタートアップとの分かりやすい比較のため)はまだなく、JYPの関係案件の共同運営(例えば、2AMとかは、JYPプロデュース・HYBEマネジメント)をメインにてCashを稼ぎました。初期のスタートアップが自社プロダクトの黒字化までに委託業務を受けてCashを稼ぐのと近いかなと思います。その中、2012年には初の自社た女子アイドルグループGLAMをデビューさせますが、市場の反応は薄く大ピンチの状況に至ります。

Hiphop女子アイドルというコンセプトのGLAMの舞台です。韓国語は分からなくても、理解が難しいコンセプトであることは多分伝わるかと思います…スタートアップの初のプロダクトはやはり問題点だらけでありその経験は次の成功の礎になっていくパターンの過程かな…と

●実績のない・VC投資に向いてない分野の会社が資金調達できた2つの理由

2012年のプロダクト(GLAM、BTSなど)ロンチに向けて大きい資金が必要だったHYBEは、外部資金誘致に積極的に取り組みます。今や韓国コンテンツはグローバルでも高い評価を受けていて、資金調達もそこまでは苦労しないかも(Ent企業への投資はまだまだ難しいのはあります)ですが、その時はまだまだでした。(投資検討側からすると、何より「どうやって評価するか」のが問題なんですね…)
その状況で資金調達できた背景について、その当時の記事を少し調べたところ、大きく二つにまとめれるかな?と個人的に思います。

①同じ業界でちょうど成功的なRefが出始めた。
Ent業界初の代表的VC投資事例はYG(Bigbangの元所属社)です。韓国の代表的VCである「韓国投資パートナーズ」は2009年、上場前のYGに約8億円(74億ウォン)を投資し2010年に上場に成功、結果9倍の収益を得ます。これは当時かなりの話題になり、「Ent株にもワンチャン狙えるかも」という考えのきっかけになったかと推測します。ちなみに、当時韓国投資投資パートナーズはYGの投資検討について以下の様に話しします。

"コンテンツそのものではなく、アーティストが育成できる企画力がYGが特別だった"
"投資担当はYGの日本公演を全部見に行った"

https://m.mt.co.kr/renew/view.html?no=2012062015133782411&outlink=1&ref=https%3A%2F%2Fsearch.naver.com#_enliple

余談ですが、上記記事は2012年のもので、韓国投資パートナーズの次の注目株はあの「カカオトーク」だったらしい(…)です。

②CEOの人脈と人望
YGの様な一部成功事例があったとして、YGとは違いHYBEはまだヒット作は出してなく、評価のしようがない状況でした。それにも関わらずHYBEは2011年~2012年にかけて合計約8億円の資金調達に成功します(SV Investment 7億円、LB Investment 1億円。LBはその後2016年に6億円の追加投資を実施)。それができたのはやはりCEOのバン氏の人望と信頼という分析です。ソウル大出身である人脈というベースに加えて、「行ったことは絶対守る。お金は絶対に返す」というバン氏が10年間にかけて作ってきた人柄に投資ができたという分析がやはり多かったです。

最近日本のVC業界でも連続起業家が増えてきており、その方々はやはり「実績がものを語るかたる」という側面から相対的に資金調達がしやすい傾向をにも、HYBEの成功の発端になったこの資金調達との共通することがあると思います。

●その後の成長

この大規模資金調達の成功、その後の大大大ヒットプロダクト(BTS)のロンチ、紆余曲折はあったが何とか国内市場で結果をだし、タイミングよく海外進出に成功、その成功をパターン化した次のプロダクトとロンチ(Le SSerafim, New Jeans)、業界のスーパースター開発者の獲得(ミン・ヒジン)などなどの詳細はここでは割愛します。

●投資家としてのHYBE

2020年、成功的にEXIT(IPO)に成功したHYBEは今は投資家としての活発な動きを見せています。今までの投資件数は14件に上り、今後はアイドル産業をアイドルに留まらず、テックを融合したものにしようとしています。例えば、AIオーディオ技術のSupertone。AIで音声を作る技術を導入して違う言語の国への進出を促進させるなど、グローバル展開と新事業創出のためにスタートアップエコシステムを積極的に活用しています。

●最後に

この間、上述したLBインベストメントの代表と話をしたことがあります。彼が言ったHYBEの投資において大事だったのは「現場」と「人」、その後の「信頼」でした。分野が違うと考え方・見るポイントが違うのかなとか思いますが、やはり本質を突き詰めるとどこも一緒かと。
私も今日とあるロボットを見たくて韓国に行って、そしてソウルから1時間半離れたところまで行ってきました。高速鉄道(新幹線的な)だったけど座席がなくへとへとではありますが、やはり何事も自分で見ると違いますね!
今度は私もアイドル関連の投資検討がしたいな、、、

「大田→カンナム」の高速列車。座席は売り切りだったので立ち席の切符を買って、廊下で座ってこのnoteを書きました。韓国の鉄道システムも中々面白く(日本と似っているのにまた異なる)、今度機会があれば書いてみたいです。へとへと


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