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これは多分ぎりぎりエッセイである

 僕は今、パッとしないアパートの103号室に住んでいて、102号室に住んでいる人は、休日の朝に結構な頻度で下手くそな歌を歌っている。もちろん知らない人。

その歌声で目が覚める朝というのを想像してみて欲しい。しかも、それは休日なのである。まあ、なかなかに辛いものだ。なかなかを少しばかり超えてる気もする。

歌うのが悪いわけでも、下手くそなのが悪いわけでもない。その歌声で僕の目が覚めるのが悪いのである。歌うのは何も朝っぱらからじゃなくても良いんじゃないかなあといつも思っている。


 そして、音の鳴りづらい安物のギターが僕の部屋には一本置いてある。
演奏する者の技術次第かもしれない(というか絶対そうだと思う)が、全然ちゃんと音が鳴ってくれない。Fコードなんかはもう幼稚園児の合唱くらい、ちぐはぐな音が出る。幼稚園児の場合そこには可愛げが最大限含まれているが、僕のギターにはそれが無い。ただ、ちぐはぐな音が出るだけである。

少しだけ悲しくなる。ほんの少しだけ。

 あとは壁に世界地図が貼ってある。世界地図を眺めるのは本当に楽しい。そしてその世界地図には、それぞれの国の国旗が載っているのだが、それを眺めるのも同じくらい楽しい。

そして、国旗というのは、どこの国も本当に絶妙にカッコよくないのである。

 これは僕の美的センスの範囲内での判断だけれど、本当に絶妙にカッコ良くないのである。この世に溢れている「絶妙さ」を戦わせたら、3位(1位と2位ではなく3位というのが、またなんとも絶妙なわけだけれど。)にはなるはずである。そのくらいの絶妙さを国旗は兼ね備えている。と僕は勝手に思ってる。

 もちろん、これは個人的にそう思うだけであって、僕のこの発言のせいで誰かが傷ついてしまうことがあれば、それは本当に心から申し訳ないと思うし、どうか許してやって欲しい。