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saaakit
列車よ、こだまを
不器用さで涙しました
涙は別離のようでした
涙はいのりでもありました
いのりは届いてるようでした
それはひたすらに私をなぐさめるのです
不器用さで涙する私を
車窓に映る故郷はどこですか
5年から10年かわりました
40年経つと戻ってくるのです
私はどこまでも母であります
北と南にわかれた線路
私は何度も行き来しました
いつかは隠れる死体の山も
超えては海で、超えては雪でした
どちらへでも行けましたが
選んだのは雪でした
だから何度も海へ行こうとしました
言葉にならないのでヴァイオリンを奏でました
海へ向かう列車に乗せるたびに、列車は往復を繰り返しました
短い距離を世界の長さよりも長く
今朝、海へ向かいました
ヴァイオリンは生きています
いのりの音もいつかは奏でられるでしょうか
私はあなたの子ですから
きっとものになります
いのりの音はあなたからの授かりものです
それならヴァイオリンもまた授かりものかもしれません
届く事はないのがさみしいですが
これは芸術の宿命です
届く事のないだけ強くなります
それでもあなたのいのりに勝る事はないのですが