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快晴というにはもう遅い夕方の空を見上げた

久しぶりに、何も予定がない有給だった。

同僚は働いているのに、自分は仕事をしていない今日という日に居心地の悪さを少し感じたまま、帰り道を歩いていた。

罪悪感を消すために、消してくれる「何か」を探した。

さっきかけたパーマに使われた、薬剤の匂いがする。
自分を整える作業はいくつか候補があるが、物理的に整えるとやはりわかりやすく気持ちがいい。

行きより膨らんだリュックの重さを感じる。来週の結婚式参列に向け、クリーニングに出したスーツを受け取ってきた。
ご祝儀袋も買った。
いつまで経っても自分の名前はうまく毛筆では書けない。

だいぶ涼しくなってきた。
最近、秋の主張が弱い気がする。
もっと自信持っていいから堂々としてほしい。

そうこうしてる中で空を見た。

雲ひとつない空だった。

青から黄色へのグラデーションが、息を呑むようにあまりにも鮮やかだった。

快晴というには夕方すぎる。この言葉はもう少し日中に使った方がいいだろう。
でも、どこまでも澄んでいた。

この空だけで上を向けるのだから自分もまだ捨てたもんじゃない。

しばらく写真を撮っては画面越しに眺め、また肉眼でも眺めて、そうして鼻を刺す冷気に気がついて、また歩き始めた。

いい日だった。

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