装いがほどけていく
君と話をすると、体がじわーっと暖かくなる。
考えるよりも先に言葉が口から溢れて
息継ぎも忘れて言葉を紡ぎ出す。
思ってもみなかった興奮した自分がそこにいる。
「実は前から興味があったんだ。
少し始めて見たら
思っていたより難しくてね。
ただ、始める前の悩みとは
また別の悩みで楽しいよ。
次は違う方法で挑戦してみようと思うんだ。」
ああ、打ち明けてしまった。
密かに始めていたことなのに。
それはあまりにも不格好で
人前に見せることなんてできないから
上達したら話してみよう、なんて考えていた。
計画は泡のようにシュワシュワ弾けていく。
こんなこと予想していなかったのに。
君があまりにも今を楽しそうに話すもんだから
つられて私もたくさん話してしまったじゃないか。
君といる時間はいつも楽しく
取り繕う私の衣をいとも簡単にほどかせる。
君には敵わない。
≪おもい外套はコート掛けに≫