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祭り囃子が聞こえた

祭り囃子が聞こえ始めました。

太鼓や笛の音、そして鉦(金属製の打楽器)のカラン、カランという軽やかで独特な響き…、そうです、阿波おどりです。

このぐらいの時期になると、私の住む高円寺のあちこちで阿波おどりの練習が始まるのです。休日は、小学校の体育館などを借りて練習しているようで、そこから祭り囃子が聞こえ始めたのです。

私は、いつもこれが聞こえ始めると、今年も夏が来たなぁと思います。

2020年以降、開催を自粛していた東京高円寺阿波おどり。
昨年は、感染対策を施して、座・高円寺というイベントホールでのみ行われましたが、今年は4年ぶりに阿波おどりが我が街高円寺の道の上に帰ってくるのです。
やはり、阿波おどりは、蒸し暑い夏の夜の屋外で、大騒ぎで踊っている姿があってこそですよね。皆さんもご存知の“踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊りゃな損損!”という掛け声にもあるように、日頃のあれこれを今は忘れて阿呆になって騒ごうという、振り切った潔い気持ちが前面に溢れ出ていて、私は阿波おどりの独特の高揚感が大好きです。

阿波おどりの発祥はご存知の通り“阿波の国”徳島県。約400年の歴史があるそうです。
その阿波おどりを高円寺の商店街の人々が街おこしの夏のイベントとして始めたのが約65年前で、都内在住の徳島県出身の人々の指導を受けながらどんどんと発展して来たそうです。
今では、約1万人が踊り、100万人以上が訪れるそうで、本当に大きなお祭りになりました。
私が高円寺に移り住んだのが約30年前で、それまで高円寺に阿波おどりがあることは知らなかったのですが、初めて見た瞬間にその魅力にやられました。
乱暴なほどに叩き鳴らされる太鼓、それに乗じる軽やかな鉦の響きや笛の音、そして、手をひらひらと揺らす奇妙な仕草で踊る大集団。“ヤットサー、ヤットサー!”と声を掛け合いながら、滑稽なようで、とても美しく艶やかなその踊りは、長い歴史を持つ伝統芸能でありながら型破りな雰囲気を持っていて、どこかロックミュージックに通ずるところがあるなと私は感じます。だから惹かれるのかもしれませんね。

思えば、高円寺で阿波おどりが始まった頃はきっとまだ戦後と言われる時代で、皆が必死になって前向きに頑張ろうとしていた高度経済成長前夜とも言える時代。

コロナ禍を越えて4年ぶりに街路で開催される高円寺阿波おどりは、また多くの人に元気を与えてくれることでしょう。

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