起業塾とかで教えてくれない事業性融資について思うこと
風楽法師です。
商いをしていると、お金を借りたいと思う機会は少なからず発生しそうです。身の丈小商いを志してきた私ですら、これまでになんどかの事業性融資を利用してきました。何度か金融機関の門を叩いて、感じたことや教えられたことを簡単に記しておこうと思います。
1)僅かでも融資の返済は残しておいた方が良い場合が多い気がします。
完済は、融資を受けた人の多くが望むことと思いますが、金融機関からの借入がなくなると、次に借りたいときには新規扱いになってしまい、審査がゼロリセットになる場合が多いようです。このため、繰上返済でも期間短縮ではなく、返済額を限りなく0に近づけつつ利息を減らしていくのが得策と思うようになりました。キャッシュフローも増やせますしね。それに、金額の多寡によらず、返し続けているというのは、審査の際の重要な実績になるそうです。
2)地銀や信用金庫で借り入れをした場合、引っ越しや金融機関の営業エリアから外れる可能性のある人は、ちょっと考えておくべき。
法律により、営業エリア外での融資ができない金融機関が存在します。こうした金融機関で借り入れを行った場合、営業エリア外に転出したり、事業移設する場合、耳を揃えて残額返済しなければなりません。
配偶者がある場合には、配偶者の分だけ住所移動したり、事業所を新たに営業エリアに作ったり、回避策は無いことも無いのですが、結構面倒かつ不便です。
また、地銀も信金も住所地以外での融資はかなり難しいので、個人事業主が他拠点で事業活動しようと思う場合、資金捻出は中々に大変です。
3)日本政策金融公庫は頼もしい!
前述の住所地の問題をクリアするには持ってこいです。例えば、マル経融資では、保証人、担保不要で、設備2000万円まで貸してくれます。最長2年間の据え置きも可能です。とは言え、私の場合、実績のない段階では門前払いでした。ところが、商工会に名を連ねてたまに商工会主催のセミナーを聞いたりしていると1年ほどで商工会が公庫に口利きをしてくれます。マル経の融資が得られた時は、本当に商工会のありがたみを感じました。いつかは商いを、と考えている人には、商工会(会議所)に入会しておくというのはある種の保険にもなり得そうに思います。それから、事業実績ができてくると、門前払いされることもなくなり、マル経以外の融資相談にも乗ってくれるようになりました。
4)メガバンクは駆け出しの個人事業者にはとっても厳しい
赤い銀行、青い銀行、緑の銀行、色々ありますが、緑の銀行は資産3億円がスタートラインと武蔵境南口支店の支店長から伺いました。三鷹駅南口の青い銀行は具体的な数字を出してくれませんでしたが、少なくとも法人格が無いと取引対象にはならない様子でした。赤い銀行とはお付き合いが無いので分かりません。個人事業者でもメガバンクから融資を引っ張ってくる人が居るのですが、きっとかなりの資産をお持ちなのでしょうね。
5)給与のある勤め人は、辞める前に借入しておくべき
私は勤めのある間にいくつかの融資を受けましたが、勤めを辞めた途端に金融機関の対応は手のひらを返したように変わりました。住宅ローンや教育ローンも同様の様ですが、個人事業主等になって給与がなくなるといきなり金融属性が丸落ちします。勤めを辞めて融資計画を組む必要がある場合には、辞める前に(辞めることはひとまず置いといて)融資を受けておく方が可能性をスポイルせずに済むと感じました。実際、住宅金融公庫(現住宅金融支援機構)からの借入も勤めを辞めてからでは借入れできなかったでしょう、と言われています。
定年退職したら、地方に家を買って住もう(現金決済なら問題ありませんが)とか考えている人にも要注意事項と思います。
*.番外)自治体の補助金・支援金
政府の意向を受けて自治体が実施するサポートには事業の一部を補助してくれる制度等が色々あります。これらも基本的には住所地でないと難しいのですが、小さくとも事業を継続した実績を作って幾分かでも納税した実績ができると助成対象にカウントできる場合が出てくるようです。
私は、長野県佐久市ではじめた初の建物再生に日本政策金融公庫から借り入れを行い、現在進めているシェアプレイスBrightBaseでは市からの補助金に助けられました。
普段使いの小商いを志す人の参考になれば、幸いです。