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2019.5.19(日) 観劇記録 こまつ座 「木の上の軍隊」

日曜日の午前中、オーディオで音楽を聴きながら溜まった日記なんかを書いていたんですよね。
そうしたら、なんとなく電源のコードがグチャグチャ絡まっているのが気になってしまって、ちょっと押し込んだり伸ばしたりしていたら、100円ショップで買った三口の電源タップがポロって分解して、そのはずみで中の端子が接触して「バチッ」って青い火花がスパークしてショート!

久々にビックリして、ちょっと飛び上がりそうになりました。
そのショートしたコンセントにはオーディオの電源が刺さっていて、しまったと思ってオーディオの電源を入れ直してみたけど、電源が入らず……
うわー、故障したかも……と思って、けっこうヘコみました。

ネットで修理できるのかとか、いくらくらいかかるのかとか一通り調べて、買い替えかなぁ、ああNabowaのCDが入れっぱなしで取り出せない……とか思い始めたころ、ハタと気づいたのはブレーカー落ちてるんじゃない? ってこと。
確かめてみたら、案の定ブレーカーが落ちていて、ブレーカー入れたらオーディオ復活しました。

やれやれ。

そんな事件がありつつ、午後は前から気になっていた舞台の観劇に行ってきました。
井上ひさし原案の「木の上の軍隊」です。

この舞台は何度も再演されているらしく、一年くらい前に新宿の紀伊国屋書店でポスターが貼ってあるのを見かけてから、ずっと気になっていたのでした。
それで、今回再演があるのを見つけて、これは観に行かねばと思って、すぐにチケットを取りました。
劇場は新宿のサザンシアター。
初めて行ったけど、立派なホールですね。
千人くらいのキャパで広い舞台上には、大きな木が一本そびえていました。

舞台の時代背景は太平洋戦争の終戦間際、場所は沖縄の大きなガジュマルの木の上での話です。
登場人物は3人。
本土からやってきた「上官」と、島の牛飼いだった「新兵」の青年、それにガジュマルの木に宿る「精霊」。
演者ではないけれど、舞台上にはヴィオラの演奏者が一人います。

上官と新兵は激しい戦闘に追われて、大きなガジュマルの木の上に隠れ、そこを拠点として援軍が来るのを待ち続けます。
目の前で敵国の基地が日に日に大きくなっていくのを、何もできずに見つめながら。

飢えや、暑さ寒さや、病気と戦いながら木の上でたった二人きりで戦争を続ける上官と新兵。
その二人の葛藤と、ただ生き延びることと、目の前の敵を見つめることしかできない日々を過ごしていくうちに変わっていく、二人の内面と関係性。

そして、ある日、戦争が2年前にとっくに終わっていたことを知ってしまった時、二人は……

題材は戦争だけれど、直接的に反戦や戦争の悲惨さを訴えたいわけではなく、描こうとしているのはもっと違うものだなということは思いました。
うまく言葉にできないけど。

お国のために戦うという建前を頑なに言い続ける「上官」と、純粋に島を守りたい取り戻したいと言い続ける「新兵」
歴戦の経験を持つ「上官」への信頼、期待、そして失望、断絶。
素朴で純粋な「新兵」への苛立ち、殺意、親しみ。
そしてただ過ぎていく日々への倦怠感。
無駄に過ごしてしまった日々への悔恨、恥の意識。

そういう諸々の感情がリアルに伝わってきて、いろいろ考えてしまいました。
終盤、鼻をすする音が周りから聞こえてきたけど、僕自身は複雑な気分すぎて、泣くという反応になれませんでした。

ラスト、暗転の真っ暗闇の中に響く、飛行機の轟音。
その轟音の中、脳裏に浮かぶ木の上の二人の兵士。
そのイメージばかりが印象に残りました。

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Zakky
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