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パカ
パカッと蓋を開けるのってワクワクします。
プレゼントの箱、食べる前の弁当箱、買ったばかりの何かの箱全般など。
でもまあそれらは、これから初めて対面する“良いものと約束されているもの”の場合に限られるかもしれません。
反対にワクワクしないパカッと開ける系なら、
洗い忘れた鍋などを代表とする自分が放置したもの、もしくは他人が放置したもの。見たくないと思いながら開けるもの全般です。
そしてそんな怖い寄りのドキドキを感じるもの以外でも「ワクワクしない」に属するパカッと開ける系はあると思います。
それは「無」の状態で開けるもの。日常化している行動のひとつになっているパカッです。
小さなものから大きなものまで、蓋に限らずいろんなものを私たちは日々パカッと開けて生きています。扉やバックや歯磨き粉の蓋などなどなど。
むしろワクワクやドキドキのパカッとなんかより断然、「無」のパカッとを私たちは生業としているといってもいいでしょう。
しかし私はそんな日常における「無」のパカッとを、一瞬で絶妙の脱力感と高揚感に包まれる時間にしてしまうものがあることに気づいてしまいました。
そしてそれは、自分のために使うことには向いていません。誰かを驚かせたい、不意打ちでホッコリさせたい。そんなときの秘策です。
それはどんなものかというと、相手が開けた時の反応を想像してワクワクしながら、ピンク色でまんまるのキャラクター、「星のカービイ」のぬいぐるみをこっそり仕込む。というものです。
そうです。
この記事のタイトル写真の子です。
かわいいキャラクターはこの世に星の数ほど存在しますが、ピンクでまんまる。最高にシンプルでひとつの陰りも無さすぎてむしろ闇すらも感じてしまうほどですが、目が合うと、えも言われぬ脱力感と高揚感に襲われるのはカービイを置いて他にはいないと感じます。
なぜならそのフォルムに無駄が一切ないからです。
もし黄色い帽子とかを勝手に被せられてしまっていたら、私の中でここまでの座にカービイは君臨しなかったことでしょう。
想像してみてください。
学校や職場や旅先、AEON、どんな出先でもいいです。なんの気なしに最初に鞄を開けたら、入れた覚えのないカービイがあの表情でパッと目に飛び込んでくる場面を。
家族や仲間、恋人が「ごめんね」とか「がんばれ」とか「アホ!」とか、いろんな気持ちをこめて仕込んでくれたカービイ。
愛の運び屋。といってもいいかもしれません。
そして想像してみてください。
この世界のどこかの誰かさんが、
当たり前のように「無」の境地で
重厚な箱の蓋をパカッと開けたとき、
人を殺すための道具が
当たり前に入っていると思いきや、
「星のカービイ」が「ピポッ」と言わんばかりに入っていたら。
その人はどんな気持ちに、
どんな表情になるんだろ。
ちなみに、「パカ」はロシア語で
「バイバイ」「じゃあね」など別れの挨拶のくだけた表現みたいです。
パカッと開けたらバイバイ。
カービイいいな、最高。
ではこのへんで
パカ