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ショートショート「おばあちゃんの畑とサツマイモの魔法」



俺、クロ太は田舎のおばあちゃんちに住む黒猫。見た目は猫だけど、心は家族の監視役ってとこかな。秋の週末、小学生の孫、ユウトが都会からやってきた。おばあちゃんが「ユウト、クロ太、今日は畑で宝探しだよ!」と目をキラキラさせながら言うから、俺も「ニャー」と気合を入れた。宝ってのはさつまいもだ。土の中でじっくり育った、あの甘い黄金の塊。

おばあちゃんがスコップで土を掘り始めると、ユウトが「僕もやる!」って小さなシャベルでガシガシ。俺は前足でホリホリしてサポートだ。冷たい土の下から、ゴロッと大きなさつまいもが出てくるたび、ユウトが「すげー!おっきい!」と跳ねる。おばあちゃんが「これは甘さ抜群だね」と笑うと、俺も尻尾をピンと立てちゃう。でも、ユウトが力みすぎて、さつまいもをスコップで真っ二つにしちゃったときは大騒ぎ。「あーっ、ごめん!」って焦るユウトに、おばあちゃんが「大丈夫、半分でも美味しいよ」とニコニコ。俺、割れたさつまいもの匂い嗅いで「ニャウ(問題なし)」って判定した。

夕方、掘ったさつまいもを縁側で洗って、囲炉裏に放り込んだ。火がパチパチ鳴る中、おばあちゃんがユウトに昔話を始めた。「昔ね、さつまいもはお腹を満たす救世主だったんだよ。食物繊維がいっぱいで、腹持ちもいいからね」。しばらくすると、焼き上がったさつまいもが登場。皮はパリッと香ばしくて、中はホクホク。ユウトが「熱っ!」と言いながらハフハフ食べて、「甘い!お菓子みたい!」って目を丸くする。おばあちゃんが「自然の甘さだから体に優しいよ」と頷いて、俺にも小さくちぎってくれた。猫舌の俺でも我慢してペロリ。じんわり広がる甘さに、ユウトと一緒に「うまっ!」って声が出た。

おばあちゃんが言うには、さつまいもはシンプルなのに贅沢なんだって。焼くだけでこんな美味しさになるし、土の中で育った力強さが詰まってる。ユウトが「次はお父さんとお母さんにも食べさせたい!」って言うから、おばあちゃんが袋に詰めて持たせてた。俺も「ニャー(お土産いいね)」って見送り。夜、縁側で三人(と一匹)で食べた残りのさつまいも、なんか特別な味がした。おばあちゃんの笑顔とユウトの「また来るね!」が、さつまいもの甘さと一緒に心に残ったよ。

さつまいもってすごいよな。素朴な見た目だけど、焼けば幸せが溢れる。お菓子みたいな甘さなのに、栄養たっぷりで体も喜ぶ。ユウトみたいに子供も、おばあちゃんみたいに大人も、俺みたいな猫も虜になる。みんなもさつまいも、畑で掘ってみない?庭がなくても、スーパーで買ったのを焼くだけでも全然楽しめるよ。おばあちゃんの畑みたいに、ちょっとした魔法が味わえるからさ。クロ太の「ニャー」が保証する、ホクホクの宝物、ぜひ試してみて!


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